客に商品を「選ばせない」おやつ通販がすごいIT×菓子 異色のベンチャーが挑む(1/2 ページ)

» 2018年05月18日 19時10分 公開
[服部良祐ITmedia]

 客が自分で商品を選んで買う。当たり前と怒られるかもしれないが、この常識が揺らぎ始めている。客の好みに合わせて商品をチョイスして提案する「コンシェルジュ」サービスは、実店舗でもネット上でも一般的になった。そして今、あるベンチャーによる「ユーザーに商品を選ばせない」スタイルのECサイトが密かに人気を集めている。運営側がユーザーの好みを予測し、ユーザー自身も気付いていない“本当の好み”に合わせた商品を送るという仕組みだ。しかも、最新テクノロジーを使って売るのはベンチャーの扱う商品では珍しい「お菓子」。ITと菓子という異色の組み合わせで、新しいモノの売り方に挑む。

photo おしゃれな商品の裏にはITがある

ユーザーも気付いていない好みを発見

 このサービスは、2年前にスタートした「snaq.me (スナックミー) 」。人工の添加物を使わないチョコやクッキー、スナックにナッツ類など健康志向のおやつ約170種類をネット販売している。だが、実際に試そうと公式サイトを訪れると様子がおかしい。商品の購入ページが見当たらないのだ。

 初回のユーザーはすぐに商品を注文できない。約30問の“クイズ”を必ず受けることになる。間食をする時間や好きなフレーバー、サンプルの菓子の写真を見て「食べたいと思うか」など、ユーザーは嗜好を答えていく。回答が終わるとユーザーのマイページができる仕組みだ。その後ようやく2週間か4週間に1度のペースで、好みに合わせた菓子8個が1706円(税込み)で宅配される。

 たくさんの質問に答えないと注文できないのは一見面倒だが、運営するスナックミー(東京都中央区)のCEO、服部慎太郎さんは「面白がられているのか、途中でクイズを止める人はほとんどいない」と話す。

 既に会員は数千人規模に到達。ユーザーのほとんどは20〜40代の女性だ。健康志向で罪悪感をあまり感じず食べられる「ギルトフリー」と呼ばれる菓子を集めたほか、茶色とピンクが基調のおしゃれなボックスも作成。どんなおやつが届くかワクワクする仕組みや、「インスタ映え」する容器のデザインが若い女性に受けた。

 ただ、このサービスの真価は別のところにある。「ユーザーも気付いていない好みを探し出す」ITを駆使したシステムだ。

 運営側は初回にユーザーが回答したクイズの情報をアルゴリズムを使い自動分析。まず1回目の菓子ボックスを送る。食べたユーザーにはマイページで、それぞれの菓子に1から4までの星を付けて評価してもらう。この情報をもとに、さらに運営側はユーザー個人の味や触感に対する好みを分析。ユーザーが菓子を食べて評価を送るほど、真の好みを精密に把握できるようになる仕組みだ。

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