[東京 31日 ロイター] - 加熱式たばこ市場を巡る競争が新たな局面を迎えている。需要に供給が間に合わず、店頭に並べば瞬間蒸発した時期は終わった。先行したフィリップ・モリス・インターナショナル
<大手3社そろってデバイスの価格引き下げ>
フィリップ・モリスは、6月1日から加熱式たばこ「アイコス」をこれまでより3000円値下げし、7980円にすると発表した。PMジャパンのシェリー・ゴー社長は「(紙巻たばこからアイコスに)切り替えようかどうしようか考えている人が、もっと買いやすくなってもらうために希望小売価格の引き下げを行った」と説明している。
ゴー社長は価格競争ではないと話しているものの、これまで先頭を走ってきた同社を追い上げようという他社の動きが影響した可能性は否定できない。
5月に入りBATの「グロー」は、新聞や雑誌への積極的な広告と併せて、実質2980円という驚愕の価格を打ち出した。2980円のキャンペーンは、12月20日まで行われる予定。
JTも6月4日の全国展開に併せ「プルーム・テック」のスターターキットに付いていたキャリーケースを別売りとし、価格を4000円から3000円に引き下げる。紙巻きたばこでは圧倒的なシェアを有するため、プライスリーダーだったJTも、加熱式たばこは競合他社の状況をにらみながらの価格戦略となっている。
BATジャパンの広報担当者は「採算度外視ではないが、デバイスで儲けるつもりはない。スティックを買ってもらってもうけるビジネスモデル」と言い切る。外資系証券のアナリストも、加熱式たばこ市場でのビジネスは、デバイスの商売ではなく、いかに多くの消耗品を販売するかだと指摘している。
たばこの価格は、財務省の認可制となっている。加熱式たばこも、スティックやカプセルは同様に認可が必要となるが、デバイスの価格は、パイプやライターなどと同じような扱いで、各社が戦略に応じて設定することができる。まずはデバイスを購入してもらわなければ、スティックやカプセルの売り上げにはつながらないこともあり、顧客囲い込みのためにも、デバイスの価格戦略を強化する傾向が強まっている。
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