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» 2018年09月03日 06時30分 公開

東京モーターショー再生への提案池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)

[池田直渡,ITmedia]

改革の提案

 さて、これらの数字を見て明らかなように、TMSのプレゼンスは急落しており、今までのやり方を踏襲するのは自殺行為だと言うことだ。

 具体的に言えば、これまでのように絵空事のコンセプトカーを何億円もかけて並べても、もうお客さんは反応しない。一部旧来からのクルマ好きはそれを大事にしろと強弁するが、そういう人たちの喜ぶショーを続けた結果が今の状態である。数字のエビデンスを見れば明確で、それを続けていけばTMSはやがてなくなることになるだろう。変わらなければ死を待つのみなのだ。

 暗い現実ばかり見ても仕方ないので、TMSにビジネスの新しい芽について考えていきたい。

このころから車両が壇上に上がり、動線と展示物が分離されたことが分かる このころから車両が壇上に上がり、動線と展示物が分離されたことが分かる

 ここ数回のショーで明らかに目を引くのは、アジアからの来客だ。ご存知の通り、インドやASEANを中心とする西アジア各国でマーケットを寡占しているのは日本のクルマであり、彼らにとって日本車は高い技術に裏打ちされたスーパープロダクツである。仮にアジア各国のジャーナリストを招聘して、それらのクルマを作ったエンジニアによってクルマのコンセプトや技術についての濃密なコミュニケーションを取ったらどういうことになるだろうか? 彼らはこぞってTMSに来日し、そこで取材した結果はアジア各国の媒体をにぎわすことになるだろう。

 モノよりコトという考え方が優位になって久しい今、いつまでも展示物を見せるだけで勝負しようと言うのは大きな間違いであり、情報こそが真の武器になるはずだ。クルマを作っている人たちと直接話し、意見交換ができるとすれば、それは今後のアジア戦略に大きな価値を持つことは明らかだ。

 もちろんエンジニアの見識を広げることにも大いに役に立つ。そういうコミュニケーションの場があることを知った海外メーカーがTMSを放っておくわけがない。彼らはこぞってTMSに復帰してくるだろう。

 通訳や翻訳、宿の手配やプレスルームの規模拡大や内容の充実などやるべき仕事は大幅に増えるだろうが、それだけの価値は明らかにある。何度も言うが、何よりやらなければ死ぬのだ。

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