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東京モーターショー再生への提案池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2018年09月03日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]
1975年の東京モーターショー。懐かしいクルマが並ぶが、何よりも会場全体に満ちたこの活気が今と全く違う 1975年の東京モーターショー。懐かしいクルマが並ぶが、何よりも会場全体に満ちたこの活気が今と全く違う

 東京モーターショー(TMS)の地盤沈下はもはや誰の目にも明らかだ。来場者数は54年の第1回が最少かと思いきや、そうでもない。ちょっと一覧にしてみよう(参考リンク)。

入場者ワースト10

順位 回数 西暦 出展社数 出展車数 入場者数
1位 第34回 2000年 133社 248台 17万7900人
2位 第36回 2002年 110社 224台 21万1100人
3位 第38回 2004年 113社 206台 24万8600人
4位 第5回 1958年 302社 256台 51万9400人
5位 第4回 1957年 278社 268台 52万7200人
6位 第1回 1954年 254社 267台 54万7000人
7位 第3回 1956年 267社 247台 59万8300人
8位 第41回 2009年 128社 261台 61万4400人
9位 第6回 1959年 303社 317台 65万3000人
10位 第45回 2017年 153社 380台 77万1200人

入場者ベスト10

順位 回数 西暦 出展社数 出展車数 入場者数
1位 第29回 1991年 336社 783台 201万8500人
2位 第28回 1989年 338社 818台 192万4200人
3位 第30回 1993年 357社 770台 181万600人
4位 第16回 1969年 256社 722台 152万3500人
5位 第31回 1995年 361社 787台 152万3300人
6位 第32回 1997年 337社 771台 151万5400人
7位 第39回 2005年 239社 571台 151万2100人
8位 第15回 1968年 246社 723台 151万1600人
9位 第13回 1966年 245社 732台 150万2300人
10位 第12回 1965年 243社 642台 146万5800人

凋落のエビデンス

 さて内実は、ワースト10の上から3つは商用車のみで行ったショーでちょっと別枠で考えた方が良い。さらにここからモーターショーのスタートアップ期で試行錯誤中かつ成長過程である50年代の記録を除外すると、17年は09年に続く2位となる。さらに言えば17年をピークの1991年と比べるかなり惨憺(さんたん)たるものだ。

336社→153社(45.5%)

783台→380台(48.5%)

201万8500人→77万1200人(38.2%)

 あるいは、バブルとバブル直後のピーク値を別としても、2007年のリーマンショックまでは140から150万人の入場者数があり、それほど捨てたものでもなかったが、リーマンショックで海外メーカーの出展が激減し、そこから入場者数も半減している。

 日本の自動車メーカーにとって運が悪かったとも言えるが、リーマンショックで米国の経済が大打撃を受け、代わって中国が統制経済のメリットを生かして、その恐慌からいち早く脱出し、大躍進を果たした。中国の自動車販売数は日の出の勢いで伸びるとともに、北米と経済的に密接につながっている日本の経済は大打撃を受け、市場は一気にシュリンクした。

 結果として中国は年間3000万台と世界一の販売数に達し、日本は500万台市場の維持に汲々とする有様。海外メーカーがアジアのどこに販促予算を注ぎ込むかを考えれば販売規模が6倍かつ、いまだ成長中の中国に注力するのは当然の判断と言えるだろう。3000万台の販売台数はすでに全世界の新車販売の3分の1になんなんとする。

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