2016年までに自殺未遂をした経験がある人の55%が、その後1年以内に再び自殺未遂を起こしている――。公益・福祉事業を手掛ける公益財団法人 日本財団の調査でこんな事実が分かった。また、16年の調査時に「本気で自殺したいと考えている」と答えた人の67%が、17年も同じ考えを持っていることも判明した。
自殺念慮の原因を調査したところ、「家庭の問題・健康問題・経済的な問題」を抱えている人が19%で最多。「経済的な問題・仕事上の問題・健康問題」(8%)、「家庭の問題のみ」(7%)、「仕事上の問題、家庭の問題、健康問題」(5%)という結果だった。
健康問題が自殺念慮につながっている人は、心身に持病を抱えているケースが多かった。また、家庭の問題を抱えている人の多くは、「離婚」「死別」が自殺念慮の原因になっていた。
一方、この1年間で「自殺念慮がなくなった」と答えた人は、不和など家庭の問題が解消されているケースが多数だった。
では、どうすれば自殺や自殺未遂を防げるのか? 調査では、「地域社会とのほどよい関係性」「地域への愛着」が重要な役割を果たすことが判明した。
調査対象者と近隣住民との関係性を調べたところ、「あいさつ程度の付き合いがある」「日常的に立ち話をする」と答えた人は、自殺念慮が軽減されるケースが多かった。
ただ、相談や日用品の貸し借りをするなど、「生活面で近隣住民に協力してもらっている」と答えた人には、自殺念慮を軽減する効果がみられないことがあり、同団体は「親密すぎるよりも、適度な距離感がある方が自殺念慮を抱かなくなる」と分析する。
また、住んでいる地域への愛着を聞いたところ、「引っ越したい(住み続けたくない)」と答えた人よりも、「どちらかといえば住み続けたい」「住み続けたい」と答えた人のほうが自殺念慮が抑えられていることも分かった。
調査対象者がスポーツや趣味・娯楽活動に取り組んでいる場合は、「年に数回」「週1日程度」の頻度であれば自殺念慮が軽減される効果があったものの、「週に2〜3日以上」と多い場合は逆に悪化させることも分かった。
睡眠時間については、働く女性は7時間、男性は8時間程度の睡眠が自殺念慮の軽減効果があるものの、それより長い場合・短い場合は逆効果であることも分かった。
同財団は「本調査の実施を通して、自殺対策の必要性について社会の機運を醸成し、自殺対策を実施する自治体や民間団体が、施策や事業をより促進していくことを目指す」としている。
調査は17年7月28日〜31日にかけてインターネット上で実施。2万2211件の有効回答を得た。
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