<AIがもたらす未来>
AIが、かつての電気や蒸気機関のように、経済の軌道を根本から変えてしまう可能性があると考えるエコノミストは多い。
「実際のところ、AIは未来だと思っている。経済全体に浸透し、われわれの生活をすべて変えてしまうだろう」と、セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで語った。
だが変化の速度は、才能ある技術者の供給にも左右される。
経験を積んだ技術者の不足は、「新技術の拡散や、それに伴う生産性の改善を確実に遅らせる」 と、シカゴ大ブース・スクール・オブ・ビジネスのチャド・サイバーソン教授は指摘する。
米政府は、AI分野に特化した求人や採用数は追跡していない。だが、インディードやジップリクルーター、グラスドアなどの求人サイトによるオンライン求人数の調査によると、AI関連の求人は急増している。インディード上でAI関連の求人が全体に占める割合は、この2年でほぼ倍になった。他方、AI関連の求人検索件数は15%しか増えていない。
大学側も対応を急いでいる。
カリフォルニア大バークレー校では、10年前は300人だった電気工学とコンピューター科学の博士課程への志願者が、昨年は2700人に増え、その半数以上がAIに関心を寄せていると、同校のピーター・アビール教授は言う。同校では2017年秋、入門レベルのクラスを3倍の30クラスに増やした。
イリノイ大のマーク・ハセガワジョンソン教授は昨年、AI入門クラスの定数を3倍の300人に増やした。増加分の200席は、24時間で埋まったという。
カーネギーメロン大では今秋から、全米初のAI学士号の授与を始めた。「需要はあると確信している」と、同大のリード・シモンズ氏は言い、「学生の需要に応えたい」と付け加えた。
それでも、この分野における人材の需要と供給のミスマッチが解消するのは5年ほど後になると、グラスドアのチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン氏は予測する。同社では、企業サイトに掲載された求人情報を集めるアルゴリズムを使用しており、それによると、この11カ月でAI関連の求人数は倍増しているという。
「この分野に入ってくる人材の供給は、需要にまったく届いていない」と、同氏は指摘する。
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