ただ、さらにできることもある。『Fake News, Propaganda, and Plain Old Lies(フェイクニュース、プロパガンダ、昔からある真っ赤なうそ)』という著作があるカリフォルニア大学マーセッド校のドナルド・バークレー氏は、「自分自身の感情を見ること」と、アドバイスする。
「怒り、喜び、独善、といった感情がある時は、信じやすくなる。そういう時こそ注意が必要で、これは本当なのか、と自問する必要がある」
確かに、例えば「安倍晋三首相が嫌い」「韓国が嫌い」などと感情的になっているために、安倍首相や韓国についてのネガティブな情報なら、ハードルが下がってやみくもに信じてしまう人がいるのは理解できる。実際、筆者の知り合いにもそういう人はいる。
バークレー氏が主張するように、冷静になってニュースを見るというのも大事だということだ。フェイクニュースを見極めるキーワードの一つは「冷静さ」なのかもしれない。
とにかく、これから未来を支えていく子供にまで影響を与えるフェイクニュースの対策は、今すぐ始めなければいけないだろう。日本でも、カリフォルニア州のようにきちんとプログラムを作って、子供たちに正しいフェイクニュースの見分け方を教えたほうがいい。
またメディア側も、フェイクかどうかを判断できない読者が現実としていることを想定して、あと一手間チェックすることが必要になるのではないだろうか。
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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