読んだら報酬、中国ニュースアプリ赤字覚悟の拡大策565万円相当を稼いだ人も(1/3 ページ)

» 2018年12月12日 07時00分 公開
[ロイター]
photo 12月4日、上海で清掃員として働くカイ・リーさんは、中国ニュースアプリの「趣頭条(Qutoutiao)」にどっぷりはまっている。その魅力はセレブのゴシップ記事と、それを読むことで得る現金収入だ。11月撮影(2018年 ロイター/Florence Lo)

Pei Li and Adam Jourdan

[北京/上海 4日 ロイター] - 上海で清掃員として働くカイ・リーさんは、中国ニュースアプリの「趣頭条(Qutoutiao)」にどっぷりはまっている。その魅力はセレブのゴシップ記事と、それを読むことで得る現金収入だ。

63歳のカイさんがこのアプリを使うのは、仕事の休憩時間や眠れない夜だ。ここ数カ月間で稼ぎは数百元(約3500─4500円)足らずたが、副収入としては悪くないという。

中国インターネット大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>の支援を受ける趣頭条は、「ユーザー報酬」という一風変わった戦略のおかげで、1日2000万人もの読者を獲得。ランキング上位のユーザーは5万ドル(約565万円)以上稼いでいる。

ニュース記事を読むゲームに参加するか、もしくは誰かを勧誘してユーザー登録をさせれば、「デジタル金貨」がもらえる。現在の交換レートは1元=1600コインで、上位プレイヤーは「マスター」の称号を得る。

これは極端な例だが、中国では、はるかに大規模の企業が支配する市場に食い込むため、新世代のインターネット企業は、割引からクーポンに至る、さまざまな金銭的インセンティブを駆使している。

「アリババやバイドゥ(百度)、テンセント、そして従来のモバイルサービス企業と競争して新規ユーザーを獲得するには、何か新しいことを思いつく必要がある」。そう語るのは、テクノロジー中心に投資するプロメテウス・ファンドで、マネージング・パートナーとして上海で活動するZhang Chenhao氏だ。

ある意味、こうした戦略は成功している。

ニュース集約事業を営む趣頭条は9月、米国で株式公開に漕ぎつけたが、1日当たりユーザー数は昨年3倍に伸びた。第3・四半期の収益(ほぼすべてが広告収入)は、前年同期比で6倍以上に跳ね上がり、10億元(1640億円)に手が届く勢いだ。

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