「いきなり!ステーキ」は相次ぐ競合の参入を振り切れるか?“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2019年01月10日 06時30分 公開
[加谷珪一ITmedia]

ビジネスモデル特許は防衛策となるか?

 しかしながら、あまりにも急ピッチな新規出店と競合店の登場は、足元の業績に微妙な影響を及ぼし始めている。いきなり!ステーキは18年下期に入って、売上高が前年割れする月が目立つようになっている。客数と単価の両方が落ち込んでいるので、顧客層が変わってきた可能性が推察される。

 同店は、低価格が売りとはいえ、ステーキの単価はそもそも高いので、ステーキが好きか、あるいは金銭的に多少、余裕のある利用者が多かった。

 だが、ここまで同店の知名度が高くなり、店舗数も増えてくると、従来とは違った顧客層が来店することになる。そうなってくると、ライバルのステーキ専門店はもちろんのこと、ファストフードなど、別の業態とも顧客を奪い合う必要が出てくる。

「やっぱりあさくま」など競合も参入 「やっぱりあさくま」など競合も参入

 ステーキが食べたいというコアな顧客層を狙っているうちは一種のブルーオーシャン(競合がいない市場環境)だったが、状況は変わってきたと認識すべきだろう。

 ペッパーフードサービスは、競合対策として、ステーキを提供する仕組みや顧客管理に関するビジネスモデル特許を取得しており、新規参入した競合企業がすべてを模倣できないよう工夫している。例えば、14年に特許出願した「ステーキの提供システム」では、顧客をテーブルに案内し、分量を聞いて肉をカットし、テーブルに運ぶまでの一連のステップが特許の対象となっている。

 ビジネスモデル特許はその語感から、ビジネス上のアイデアそのものが特許になると考えている人が多いのだが、そうではない。単なるアイデアは特許の対象にはならず、同社の特許も、肉の計量器やテーブル番号を管理するための札など、技術的な工夫が特許対象となっている。

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