マクドナルドが過去最高益を実現し、完全復活を果たす一方、モスバーガーは業績の伸び悩みに直面している。マックとモスは同じハンバーガー店なので、どうしても比較対象となってしまうのだが、経営学的に見ると両社はまったく異なるビジネスをしている。マックとモスの何が違うのか考察した。
日本マクドナルドの2017年12月期決算は、当期純利益が前年比4.5倍の240億円となり、上場以来、最高益を実現した。同社は3年前、期限切れ鶏肉や異物混入の問題を起こし、業績が大打撃を受けた。14年12月期の決算は218億円、15年12月期は349億円の最終赤字だった。
サラ・カサノバCEO(最高経営責任者)は、不採算店舗の統廃合を進め、同時に店舗のリニューアルを行うことで収益力を回復させた。16年12月には黒字転換を果たし、17年12月期には最高益を達成するなど、順調に業績を拡大させてきた。客単価も上向いていることなどを考えると、マックは完全復活を果たしたと見てよいだろう。
マックとよく対比されるのがモスバーガーだが、同チェーンを運営するモスフードサービスは業績の伸び悩みに直面している。同社の18年3月期の決算は、営業利益は20.7%減、当期利益は24.6%減を見込んでいる。18年2月時点における全店売上高は前年比でほぼ横ばいとなっており、客数の減少を単価の上昇で何とか補っている状態だ。
マックと同様、モスも店舗運営にフランチャイズ制度を採用しており、モスフードサービスの業績とモス各店の業績は一致しない。
モスフードサービスの業績はここ数年、堅調に推移していたが、モスバーガーの店舗事業は以前から停滞が続いている。一時は1500を超えていた店舗数は年々減少しており、17年3月期には1362店舗まで減った。店舗が縮小しているにもかかわらず、運営会社の業績が伸びていたのは、直営店舗の比率を大きくすることで、運営会社の数字を拡大してきたからである。だが、こうした措置もそろそろ限界に来ており、それが来期の決算予想にも反映された格好だ。
【訂正:2018年3月22日13時38分】初出でモス全店とありましたが、これは「なか卯」や「ちりめん亭」(両社とも後に事業売却)を含むものでした。ハンバーガー事業単体の業績を示すものではないため該当箇所を変更しました。
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