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焼き鳥からうどんへ“華麗”にシフト トリドールが戦略転換できたワケ丸亀製麺で有名(3/4 ページ)

» 2019年03月06日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

うどんへの転換

 そこで同社は、鶏肉を主力食材としない新たな業態の展開に戦略転換します。それがみなさんご存じのセルフ式うどん店「丸亀製麺」です。

 創業者である粟田貴也氏が父の故郷である香川県丸亀市を訪れた際に、できたてのうどんを食べさせる「製麺所」業態が地域の人々に愛され大繁盛している様子を見て、00年に「丸亀製麺加古川店」を開業しました。

 同社はそれまでの成功モデルであったファミリー焼き鳥店から一気にうどんチェーンとしての出店攻勢をかけ、1号店をオープンしてから6年後の06年に東証マザーズに上場。さらにその2年後の08年には、東証一部に上場します。

 丸亀製麺が繁盛した理由は3点あります。

売り場力

 丸亀製麺では製麺所の臨場感を再現するために、店舗に製麺機を設置しています。各店に製麺機を設置すると大きなコストがかかるため、通常のチェーン店ではこうした設備投資を嫌います。しかし、丸亀製麺ではこうした設備投資をあえて行うことで売り場に臨場感を演出すると同時に、他社がまねできない魅力=模倣困難性を高めています。

商品力 

 先ほどお話をした製麺機にも関係していますが、丸亀製麺ではうどんのクオリティーに徹底的にこだわり「打ちたて」「茹でたて」「作りたて」を提供しています。小麦も国産小麦を100%使用するなど、他のチェーンから見ると「コスト増」「非効率」なことをあえて実行して他社がまねできない商品力を実現しています。

価格力

 そして、最後に価格戦略です。臨場感のある売り場や素材、調理方法のこだわりなどで付加価値を高めつつも、商品の最下限価格は290円(釜揚げうどん並など)という低価格に設定されています。一方、丸亀製麺は100〜150円の天ぷらやおむすびなどのトッピングをカウンター上に多数陳列することで、ついで買いを狙っています。天ぷらとおにぎりを1品ずつ追加すると、結果的に客単価は500円を超えます。このように、お客が自分の予算感やお腹の具合に合わせてメニューをアレンジできるため、幅広い利用動機の客層を獲得できます。

photo 丸亀製麺のうどん(出所:トリドールHD公式Webサイト)

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