セブンに電通、吉本興業…… 各社が「ブラック企業大賞」にノミネートされた理由2019年は9社(1/2 ページ)

» 2019年12月13日 17時11分 公開
[ITmedia]

 “今年1番のブラック企業”を決める「第8回ブラック企業大賞」のノミネート企業が発表された。大賞候補となった企業は、どんな理由で選出されたのか。

photo 「ブラック企業大賞」

2019年のノミネート企業

・KDDI: 15年9月に入社2年目の社員が過労死ラインを超える残業をした末に自死する事件が発生。18年5月に労災と認定された。18年6月には労基署からサービス残業の是正勧告と、メンタルヘルス対策の改善に関する行政指導を受けている。さらに、17年9月には従業員4613人に対し、2年間で約6億7000万円の残業代が未払いだった事実が判明。17年11月に清算した。一連の事実について同社はしばらく公表しておらず、前述の過労自死遺族との話し合いを経て、19年3月にようやく明らかにした。「日本を代表する企業が、自らの不祥事を長年にわたり隠蔽してきた行為の重さも考慮してノミネートした」(企画委員会)

・セブン-イレブン・ジャパン: 19年11月に、本部社員が加盟店に無断で商品を発注していたことが発覚。12月には、店舗で働くアルバイトなどの残業代の一部が未払いだったことが判明した。対象者は3万405人、未払い金額は遅延損害金を含めて4億9000万円に上る。同社は15年にも加盟店に対する不公正な扱いなどが問題視され、「ブラック企業大賞」を受賞している。企画委員会は「低賃金にあえぐ非正規労働者の賃金を長年にわたり搾取し、その事実を隠蔽したことの重大性に加え、対加盟店の関係でも依然多くの問題を抱える同社の状況を憂慮し、再びノミネートした」とコメントしている。

・電通: 10〜15年にかけて全国各地の労基署から是正勧告を受け、15年には女性新人社員の過労自死問題で話題を集めた。17年10月には労基法違反の有罪判決が確定した。しかし、18年にも社員の違法残業や「36協定」の違法延長を行っていたとして、労基署から再び是正勧告を受けている。セブン-イレブン・ジャパン同様、過去に「ブラック企業大賞」の受賞歴(2016年)がある。企画委員会は「多数の過労死の被害者を出し、労基法違反の有罪判決を受け、社会的にも大きな批判にさらされているにもかかわらず、再び複数の違法行為で労基署から是正勧告を受けたという悪質性を鑑みた」としている。

・ロピア: 神奈川県藤沢市に本社を置くスーパーマーケットチェーン。3000円相当の商品をレジで精算することなく持ち帰った食肉部門勤務の男性を、警察に通報して懲戒解雇。さらに、男性の自宅付近にある店を含む全店舗で、男性を名指しした上で「窃盗を理由に懲戒解雇した」と掲示した。一方、男性は商品を持ち帰ったのは過失だと主張し、横浜地裁に提訴。裁判所は男性の訴えを認め、ロピアに対して解雇の無効や名誉毀損の慰謝料の支払いなどを命じている。また、裁判を通じてこの男性に対する未払い残業代があったことも判明。「1つの事件の中にブラック企業にありがちな事象がいくつも見られた」としてノミネートされている。

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