“多方面外交”を進めていたのに台風が…… 幸楽苑は苦難を乗り越えて復活できるか長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2019年12月25日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 ラーメン業界最大の店舗数を有する「幸楽苑」。運営会社の幸楽苑ホールディングスは、11月29日と12月6日の2日間、「幸楽苑復活記念! お客様感謝祭 中華そば10円」を開催した。全店で先着100人に、通常440円(税込、以下同)の「中華そば」を10円で提供するものだ。

台風被害を乗り越えて10円ラーメンを提供

 幸楽苑の既存店売上高(直営店)は、10月が30.7%減(前年同月比)、11月は11.8%減(同)と、台風19号による工場被害の影響で大きく落ち込んだ。このキャンペーンは、幸楽苑が順調に復活しつつあることをアピールするために企画された。

 福島県郡山市にある主力の郡山工場が、台風19号による阿武隈川の氾濫により被災。操業停止に追い込まれ、約500店ある全店舗の半数近い約240店で1週間ほどの休業を余儀なくされた。その後は、神奈川県小田原市にある小田原工場から調達することで、店舗は10月20日から順次再開していった。そして、11月4日には郡山工場が復旧。同12日には1カ月ぶりに全店が通常営業に戻った。

台風19号による郡山市内阿武隈川付近の被災状況。10月13日時点(出所:国土地理院公式Webサイト)

 幸楽苑は、今期に入ってから既存店の売り上げが4〜8月までは対前年比で伸びていた。9月にその記録は途切れたものの、4.1%減にとどまっていた。今期は好調な状況が続いていただけに、思いもよらない大きな試練に見舞われている。

 10月の消費増税以降、外食需要は減退しており、下がり気味の市場で一度失った売り上げを回復するのは、容易なことではない。幸楽苑の復興への取り組みを追った。

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