2020年の年始、Twitter上でZOZO元社長の前澤友作氏が「自分のツイートをリツイートした人のうち抽選で1000人に100万円をプレゼント」と打ち出した企画が話題だ。SNS上では近年、こうしたリツイートやフォローなどをした人に企業や個人が金品を贈るとうたったキャンペーンが盛んになっている。
前澤氏はZOZO時代の19年年始にも「1億円キャンペーン」を実施しており、今回は「ベーシックインカムの社会実験」だと主張している。ただ、Twitterでは商品やサービスの宣伝などの目的で企業や個人がリツイートを呼びかけ、場合によっては前澤氏の取り組みを露骨に模倣・類似させたようなアカウントも目立つ。
前澤氏のキャンペーン自体は特定の商品宣伝や短期的な収益を狙ったものではなく、トラブルも無いようだ。ただ、氾濫する類似した「リツイートやフォローするだけで現金や商品券がもらえる」企画の中には、目的が不明瞭だったり、安易に参加して問題が起きたと応募者が訴えているケースも少なくないようだ。
情報商材などWeb上の消費者トラブルに詳しいあまた法律事務所(東京・文京)によると、リツイートした人に商品券や割引サービスをプレゼントすることで宣伝効果を狙う広告手法は、前澤氏の企画より以前からかなり広まっていたという。「IT業界では、通常の広告に比べても費用対効果が高いという意見をよく聞く」(同事務所の担当者)。ユーチューバーなど、SNSでのフォロワー数増大を目的にするパターンも少なくない。
ただSNSで広まっているのは、普通の商品・サービスを宣伝するだけの問題の無い懸賞ツイートだけではないという。無論「豪勢な金品を贈るとうたった懸賞自体が虚偽で、実際には贈っていない」「カード情報など応募者の重要な個人情報を聞き取って悪用」といった、明らかに違法性の高いケースも存在する。
さらに、同事務所によると他に懸念されるのが「知らないうちに悪質な商品・サービスに巻き込まれてしまう」場合だ。近年は「楽に大金を稼げる投資・副業のノウハウ」をうたってテキストなどを販売するものの、実際はその通りに稼げなかったり、場合によっては集団訴訟や事件に発展する情報商材のトラブルが後を絶たない。こうした業者が近年、SNS上で懸賞ツイートを頻繁に活用しているという。
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