最近また、国家型のサイバー攻撃がニュースで話題になっている。
例えば、新型コロナウイルスの発生について国際的に独立した調査を求めたオーストラリア。そのせいで中国から報復関税などを受け、さらに最近スコット・モリソン首相が記者会見を開き、政府や産業界、インフラ、教育、保健、サービスに対して、「国家」が背後にいるとみられる大規模サイバー攻撃を受けていると発表した。この「国家」とは、中国のことだと考えていい。
またインドと中国の国境沿いの争いでインド兵20人ほどと中国兵40人ほどが死亡したとされる問題でも、インド政府は中国から政府機関や金融部門などへの激しいサイバー攻撃を受けていると主張している。
最近では国家間の争いが絡んで、政府や民間企業がサイバー攻撃の被害を受けるケースが増えている。妨害行為の場合もあれば、ライバル国の大手企業を攻撃して長期的に国の経済を疲弊させることが目的の場合もある。中国やロシア、イランなどがこうした攻撃を敵対勢力に向けて頻繁に仕掛けていることは、セキュリティ関係者の間では周知の事実である。
一方で、単純に国家財政のために、敵対国などへのサイバー攻撃を繰り返している国もある。そう、北朝鮮である。途上国の銀行や仮想通貨取引所を狙ったりと、この連載でも過去に北朝鮮の攻撃については取り上げてきた(参考記事:暴かれた「北朝鮮サイバー工作」の全貌 “偽メール”から始まる脅威)。
そして今、世界的な新型コロナの感染拡大で国内経済が疲弊し、さらに米国との非核化交渉も進まず経済制裁が重くのしかかっている北朝鮮が、また新たな大規模サイバー攻撃に乗り出している。いや、乗り出さなくてはならなくなったと言った方がいいかもしれない。
まさに世界が新型コロナからそろそろ立ち直ろうとしているこの時期を狙って、北朝鮮は日本を含む世界6カ国をターゲットにしたかなり大規模なサイバー攻撃のキャンペーンを始めた。しかも手口は全て、新型コロナに絡む政府からの補助金に関するものだ。一般市民や企業を広く狙った攻撃だけに、特にビジネスパーソンにとっては、コロナ禍から仕事が元通りになっていくゴタゴタの中で、いつも以上の警戒が必要だろう。
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