コロナ禍で人手不足の企業激減、旅館業は特に「人手過剰」に帝国データバンク7月調査(1/2 ページ)

» 2020年08月25日 17時40分 公開
[ITmedia]

 以前は全体的に人手不足の傾向にあった企業の採用状況が、新型コロナウイルスによる業績悪化で大きく「買い手市場化」している。帝国データバンクの調査によると、7月時点で正社員の人手不足を感じている企業は約3割で、前年同月より大きく減少した。逆に人手が過剰と回答する企業の割合は急増しており、特にインバウンド需要などの激減が響いた観光系の業種で影響が大きいようだ。

photo コロナ禍で人手不足な企業が減少(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

「人手過剰」企業も急増

 調査は同社が7月16日〜31日にかけて、全国の約1万1000社に実施した。2006年より実施している。

 まず、「正社員が不足している」と回答した企業は30.4%となり、前年同月より18.1ポイントも減少した。帝国デーバンクによると、コロナ禍による打撃がより深刻になってきた4月に「正社員不足」企業は約3割に急減し、低い水準で推移している。逆に、「過剰」と感じる企業は7月時点で22.9%と、前年同月より10ポイント以上増加した。

photo 企業の感じる従業員の「過不足」率(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」)
photo 企業の感じる従業員の「過不足」率の月次推移(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」)

 非正社員についても、「不足している」企業は7月で16.6%と前年より急減、逆に「過剰」の方は21.2%と急増している。やはり、コロナ禍を受けた業績悪化で人手の過剰感が続いている。

 業種別に見た正社員における「人手不足企業」の割合が最も高かったのは「建設」で、51.9%となった。ただ、こちらも前年同月より15.6ポイント減。人手不足の会社の割合が高めな業種でも、多くが前年より下がっていた。

photo 従業員が不足している上位業種(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」)

 一方で、「教育サービス」(48%)と、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」(42.9%)は、前年より比率が増加する結果となった。

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