電通と量子コンピュータ企業が提携――テレビ広告枠のマッチング、超高速で3億円資金調達も(1/2 ページ)

» 2020年11月02日 16時40分 公開
[服部良祐ITmedia]

 電通とITベンチャーのエー・スター・クォンタム(AQ社、東京・港)は11月2日、同社の持つ量子コンピュータのソフトウェア開発で業務提携したと発表した。量子コンピュータの持つ高速計算能力を、電通のテレビ広告枠と広告内容の最適・迅速なマッチングで活用する。

photo 電通と提携した量子コンピュータ企業のエー・スター・クォンタム(同社の公式サイトから引用)

第三者割当増資を実施

 合わせてAQ社は、電通グループやベンチャーキャピタルのAbies Ventures(東京・港)らが運営する価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合などを引受先とする第三者割当増資で、総額3億円の資金調達を実施したと同日、発表した。パートナー企業との連携強化や、量子コンピュータのソフト開発のためのエンジニア・研究者採用などに充てる。

 今回、AQ社が電通向けに開発をスタートさせるのは、テレビ広告枠とクライアントの広告内容をマッチングさせるソフトウェア。電通はこれまでも、クライアントが買った広告をどの枠に当てはめるか、計算プログラムなどに基づいて決定していた。

 ただ、広告枠の組み合わせが膨大なこともあり、従来は長大な計算時間が必要だった。AQ社は、従来のコンピュータと量子コンピュータの両方を活用することで計算の工数を大幅に短縮するほか、予測視聴率といったデータも組み合わせることで広告枠運用の効率化を図る。AQ社の船橋弘路社長は「1年以内の実用化を目指す」としている。

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