アパレル、インテリア、食料品、日用品……オンラインを主戦場にしてきた「D2Cブランド」がリアル店舗を持つ目的は?小売の原点回帰か?(2/3 ページ)

» 2021年01月29日 20時37分 公開
GLOBIS知見録

D2Cブランドの消費者と課題

 主な消費者は、20代〜30代のミレニアル世代だ。彼らは、触れたり、試着したりできなくても、SNSの画像やライブ配信などをみて購入することに抵抗がない。さらに有名ブランドに対しても関心が高くないので、ネット通販から生まれた無名のD2Cブランドであっても需要を満たせば、購入するというのがD2Cブランドの消費者の特徴だ。

 D2Cブランドはオンラインを主戦場にしてきたが、最近は、リアル店舗を持つ企業も増えつつある。D2Cブランド増加の影響で、いっそうの差別化が必要な状況になっていることに加え、SNSの広告費高騰も影響している。店舗運営のコストがかかったとしても、事業拡大や新たな消費者獲得が必要なフェーズにきているのだ。

phot D2Cブランドの主な消費者は、20代〜30代のミレニアル世代だ(写真提供:ゲッティイメージズ)

海外のD2Cブランド事例

 D2C先進国であるアメリカの状況はどうなっているのだろう。Warby Parkerは、市場には高価格の商品しかないという課題意識から起業し、眼鏡を手頃な価格帯で提供している。オンラインでの購入に抵抗のある消費者の取り込みも視野に入れ、リアル店舗の展開を始めた。新たな消費者に、実際に商品に触れ、試すことで安心してもらったら、購入はオンラインでしてもらうショールーム的な役割の店舗を展開している。

 Allbirdsは、履き心地の追求とサステイナブルな取り組みを重視し、セレブリティにも愛用されている靴のブランドだ。すでにアメリカでは、店舗を構えているが、リアル店舗を中国や日本にも出店し、海外の消費者を取り込む狙いだ。

phot AllbirdsのWebサイト

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