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» 2021年03月18日 16時07分 公開

楽天グループ、2423億円増資に潜む「見過ごせない問題点」磯山友幸の「滅びる企業 生き残る企業」(2/3 ページ)

[磯山友幸,ITmedia]

基地局関連コストが増加 膨らむ営業損失

 モバイル事業の四半期の営業損失は毎期毎期膨らんでいて、2020年第4四半期(10-12月)は3カ月で725億円に達した。「基地局建設の計画前倒しに伴い、基地局関連コストが増加」したことが理由だとしている。今回、増資で調達する資金も今年の4月から12月までに基地局に投じるとしている。つまり目先の投資資金に充てられるのだ。

モバイル事業の四半期の営業損失は毎期毎期膨らんでいる。2020年第4四半期(10-12月)は3カ月で725億円に達した

 日本郵政は株式を上場しているものの、政府が株式の63%を持つ国有企業だ。国の子会社と言っていい。つまり国民の財産だ。株式保有者は「財務大臣」ということになっているが、実際は総務省が所管している。社長の増田氏はかつて総務大臣を務めた。日本郵政取締役で傘下の日本郵便の社長でもある衣川和秀氏も、やはり取締役でかんぽ生命の社長である千田哲也氏もいずれも郵政省出身である。いわば総務省がうんと言わなかったら何もできない会社なのである。

日本郵政は株式を上場しているものの、政府が株式の63%を持つ国有企業だ(同社のWebサイトより)

 一方の楽天の携帯電話事業の監督官庁も総務省である。これでは、総務省管轄の会社が、国民の財産を使って、総務省が監督下の会社の基地局建設をやらせているような構図になってしまうではないか。つまり、国が楽天の基地局建設に資金を出したも同然なのだ。

 なぜ、総務省はそこまでして「楽天さま」(増田社長の会見)を支えなければならないのか。

 通信行政に詳しい業界関係者が語る。

 「これまで総務省は、携帯電話事業への新規参入を促すことで競争を生み、価格を引き下げる政策を取ってきました。格安携帯会社もそうですが、大手キャリアに戦いを挑む相手になったのが楽天です。ところが、菅義偉氏が首相になって何しろ値下げ実現を急いだため、大手3社が一斉に値下げすることになった。楽天は一気に苦境に立たされました。まさに政府・総務省に梯子(はしご)を外された格好になったのです」

 その楽天を支えるために、総務省の手駒である日本郵政を使って資金を出させたというのが関係者氏の見立てである。

 「三木谷氏は政府の産業競争力会議の民間議員などを務め、当時官房長官だった菅氏とも関係が深い。増田社長は菅氏のイエスマンとして重用され、保険の不正販売問題を機に民間出身社長を追い出した後の日本郵政社長に収まりました。今回の業務提携にどれだけ首相が関与しているか分かりませんが、事前に耳に入っていなかったとは考えられません」

 そう前出の関係者は語る。

日本郵政の増田寛也社長はかつて総務大臣を務めた(会見より)
日本郵政取締役、日本郵便の衣川和秀社長は郵政省出身(会見より)
基地局関連コストが増加している

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