リテール大革命

地元の小さな店を“オンライン”にする、米国スタートアップ3選大資本VS. ローカル(2/4 ページ)

» 2021年03月19日 08時00分 公開
[中山悠介ITmedia]

ローカルな街に特化した「In Stock」

(1)In Stock(インストック)

  • 提供サービス:ローカルな特定の街に特化した「ECサイト運営」+「翌日デリバリー」サービス
  • 地域:米国サンタクルーズ市
  • 設立:2020年
  • 投資家:Y Combinator(ワイコンビネーター)など

 ECサイトを作ることは日本でも米国でもそんなに難しいことではなくなってきています。けれど、いざローカルな小規模店舗がECサイトを作っても、集客力や在庫力、配送力などの面でAmazonのような大型ECモールと勝負することは簡単ではありません。

 でも、広い地域でAmazonと戦えないとしても、一つの街に特化したら商機があるのでは? というコンセプトを掲げるのがインストックです。インストックはローカルな街に特化し(例えばサンタクルーズ市など)、その街にある店舗をオンライン化して取りまとめることで、消費者体験を向上させています。

 個々の店舗は小さくても、街中の小規模店舗が連合すれば、あたかも仮想的な地域商店街のような姿になり、地元住民への集客力が確保できます。また限られたエリアに実店舗が集中するため、配送業務が効率化され、無料での翌日配送が可能となりました。

 インストックは「10分間で簡単にECサイトを開設可能」というインスタントカートの基礎的な要件はきちんと提供しつつ、「地元の消費者へのリーチ」「決済」「物流」までをワンストップで小規模店舗に提供しているのです。

 単にECサイトを開くことができるだけでなく、地域連合を組むことで、オンライン上で大手に対して戦える仕組みを提供していることがユニークです。

 同社は2020年創業、社員2人と非常に若い会社です。展開都市もサンタクルーズ、サンフランシスコなど限定的。今後、社会の支持を得てカバーエリアを拡大することができるかが注目されます。

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