沖縄の1病院で看護師77人が大量退職 医療崩壊を危ぶむコロナ感染の不安(1/2 ページ)

» 2021年04月21日 18時49分 公開
[沖縄タイムス+プラス]

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、沖縄県内の医療機関で一般診療への影響が出ている。救急外来の受け入れ制限を始めた浦添総合病院の福本泰三院長が本紙のインタビューに応じ、看護師が大量退職し、一般診療を縮小せざるを得ない現状を明らかにした。県はコロナ病床の増床を医療機関に求めているが、「これ以上一般診療を削れば医療崩壊になる」と強い懸念を示す。(社会部・山中由睦)

新型コロナの重症患者が治療を受ける浦添総合病院の一室(同院提供)

 同院は334の病床を持ち、年間で外来患者約12万人、救急患者約2万人が来る地域の医療拠点。県に伝えている計画では、コロナ病床は最大31あり、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(エクモ)が必要な重症患者は16人受け入れ可能だ。

 昨年4月7日〜今年4月13日に受け入れたコロナ患者は計213人。40人が人工呼吸器の治療を受け、このうち2人はエクモも使った。今月15日時点で重症病床に4人、中等症病床に8人が入院。コロナ病床の利用率は4割未満で、まだ余裕があるように見える。

 だが、福本院長は「実際は逼迫(ひっぱく)している。看護師が足りず、重症者は受け入れ可能数の半分しか対応できない」と打ち明ける。

 院長によると、コロナ以外の重症者は、看護師1人で患者2人を診ることが多い。しかし、人工呼吸器やエクモを使うコロナの重症者は麻酔で意識を落とすため、体位変換などに手間が掛かり、看護師2人で1人の患者を診ることも。

 しかし、こうした治療を支える看護師が、感染への不安といった精神的ストレスなどから次々に離職した。昨年度に辞めた看護師は77人。離職率は16.3%で、コロナ禍前の12.8%(2019年度)を上回った。4月に入った看護師は35人しかおらず、前年度比で40人以上足りない。

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