インタビュー
» 2021年06月23日 14時40分 公開

ダイソンは日本市場をどう見ているのか 新製品「オムニグライド」のデザインエンジニアに聞いた全方向駆動コードレスクリーナー発売(1/4 ページ)

ダイソン初の全方向駆動コードレスクリーナー「Dyson Omni-glide(オムニグライド)」が発売された。開発する上で、どんな困難があったのか。日本市場で品質部門を統括するジェームズ・シェール氏に、オムニグライド開発の舞台裏と、今後の展開を聞く。

[武田信晃,ITmedia]

 掃除機をはじめ、新しい技術を駆使してレッドオーシャンの勢力図を一気に塗り替えてきた英国発の家電メーカー、ダイソン。同社初の全方向駆動コードレスクリーナー「Dyson Omni-glide(オムニグライド)」を4月に発売。軽快な操作性を実現した同製品は前後左右あらゆる方向へ操作できるクリーナーヘッドを搭載している。

前後左右あらゆる方向へ操作できるクリーナーヘッドを搭載した「Dyson Omni-glide(オムニグライド)」(以下、掃除機の画像はリリースより)

 モーターや塵(ちり)などの粒子を集めるサイクロン部分、集塵部分(クリアビン)など、同社が培ってきたテクノロジーを直線的な本体に凝縮させ、ハンドルをスティック型にしてある。ハンドルを手前に倒して180度のフラットな状態にしての掃除を可能にした。従来のモデルと大きく異なるデザインにより、家具の下などの狭い隙間もスムーズに掃除ができる。

ハンドルを手前に倒して180度のフラットな状態にしての掃除を可能にした

 従来の掃除機には「狭い場所に届かない」「障害物の周囲が掃除しにくい」などの課題があった。そこで、同製品では独自のクリーナーヘッドを開発・搭載させ、リビングルームや家具下のごみなど、狭い場所でもスムーズに掃除ができる操作性を実現している。同社が世界10カ国、約1万人を対象に実施した調査によると、ニューノーマルな生活様式下で、約31%の日本人の掃除回数や頻度が増加したという。オムニグライドはそんな日本市場を重視した同社渾身の製品だ。

クリーナーヘッドを開発・搭載させ、リビングルームや家具下のごみなど、狭い場所でもスムーズに掃除ができる操作性を実現している

 開発する上で、どんな困難があったのか。日本市場で品質部門を統括するジェームズ・シェール氏に、オムニグライド開発の舞台裏と、今後の展開を聞く。同社は2020年11月に製品ポートフォリオを25年までに倍増させるとして新たな技術研究開発に27億5000万ポンド(1ポンド=141円換算で約3878億円)を投資する計画を発表している。

James Shale(ジェームズ シェール)カントリー・クオリティー・リード‐東京。2015年9月入社後、空調家電および Airblade 製品をモニタリングを担当。 その後、ダイソンとして初めてのコネクテッド空調家電である Dyson Pure Cool Linkの製品開発に取り組み、ユーザーエクスペリエンス を重視した開発に従事。 現在は東京でカントリー クオリティー リードとして日本の品質部門を統率。日本人ユーザーの問題を解決する新技術を開発するべく、日本において消費者のニーズからさらなる洞察を得るべく取り組んでいる

設計面での課題をクリア 操作性を追求

――オムニグライドは前後左右に動かせる全方向稼働を可能にしていて、180度フラットにできますから家具下も掃除できますね。貴社の従来の製品との違いは何ですか?

 まず、操作性が圧倒的に優れている点が挙げられます。フローリングなど硬めの床でも操作しやすいように、設計を1から考え直しました。具体的な強みが2つあります。1つはクリーナーヘッドの部分で、2つのローラーを持つ設計にしたことです。こうすることで前後左右の全方向駆動となり、どんな向きにしてもごみがしっかり取れるようになりました。

 もう1つは、本体を直線型にしたことです。バッテリーの位置も従来の製品と変え、簡単に手で持ち変えられるようにしたのです。

――クリーナーヘッドに2つのローラーを付けることで、なぜ全方向駆動になるのですか?

 2つのヘッドは回転方向が異なります(※筆者注:1つは時計回り、もう1つは反時計回り)。このような設計にすることで、ヘッドを押したときも引いたときも、しっかりとほこりを取ることができるようにしたことがポイントです。また、床との摩擦も軽減させられるので、いろいろな方向に向けてごみを取れるようにしました。

――今回、開発する上で最も困難を感じたことと、それをどう乗り越えましたか?

 バッテリーパックを持ち手の内部に移動させたことです。2次電池(バッテリー)を内蔵する持ち手部分を直線的に配列した点は大変でしたね。

――なるほど。持ち手の形や太さと、蓄電池の容量とのバランスを取るのは難しそうですね。

 リチウムイオンバッテリーにはもともと決まった形がありますから、これをどうやってハンドルの部分に収めるかが課題だったのです。その上でハンドルを持ったときに収まりのいい太さ・長さにしなければいけません。

 同時にユーザーの手元にバッテリーがあるため、安心して使用してもらうために安全面の配慮も必要でした。こうして話すとシンプルに聞こえるかもしれませんが、いろいろと考えなければいけないことがありました。

――バッテリーはリコールなどが起こりやすい部品です。安全性は担保されていますか?

 もちろんです。ダイソンとしてパフォーマンスを追求することは絶対ですが、安全はそれ以上に重視しています。パフォーマンスのために安全を犠牲には絶対にしません。

リチウムイオンバッテリーをどうやってハンドルの部分に収めるかが課題だった
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