最低賃金引き上げが企業にもたらす影響は?全国平均で28円引き上げ(1/2 ページ)

» 2021年08月20日 12時45分 公開
[ITmedia]

 東京商工リサーチは、全国の企業9278社を対象に「最低賃金引き上げに関するアンケート」を実施した。最低賃金引き上げによる影響について、83.4%の企業が当面の人員戦略には「影響は与えない」とした一方で、5.4%が非正規従業員を削減する方針と回答。正規従業員より賃金を抑え、期間を限定する非正規雇用のメリットが希薄化する可能性が出てきた。

最低賃金 最低賃金引き上げの影響は?(画像提供:ゲッティイメージズ)

 厚生労働省の中央最低賃金審議会が2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げる答申をまとめたことを受け、最低賃金引き上げは雇用政策に影響するか尋ねた。

 その結果、構成比83.4%にあたる7745社が「自社の人員戦略に影響を与えない」と回答した。この傾向は大企業(構成比89.7%)ほど顕著で、中小企業(同82.3%)と7.4ポイントの開きがあった。

最低賃金 最低賃金引き上げの影響(東京商工リサーチ調べ)

 非正規の削減意向を示した企業は503社(同5.4%)で、大企業(同3.6%)より中小企業(同5.7%)にその傾向が強かった。一方、正規従業員の増員を検討する企業は、中小企業(同10.4%)が大企業(同6.7%)を3.7ポイント上回り、中小企業ほど雇用確保への動きが積極的なことを示した。

 コロナ感染拡大前の20年1月まで、有効求人倍率は19カ月連続で最大1.5倍を超えるなど、中小企業の人手不足が続いていた。東京商工リサーチは「こうした事態を繰り返すことを避けるため、業績が堅調な企業では、派遣社員やパートなど時給で雇用する非正規から正規雇用にシフトし、雇用の安定に動くことも想定される」としている。

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