10年間の総合ランキングを見ると、何が足を引っ張っているのかはハッキリしている。「ボランティアをしたか」の項目では46位、「寄付をしたか」の項目では64位なので、それほど悪い結果ではない。一方、「見知らぬ他人を助けたか」が堂々の最下位となっており、これがランキング結果を引き下げた(ちなみに21年のランキングは、寄付とボランティアのランクも大きく下がり、これで全体ランキングが最下位になった)。
日本にもボランティア団体があるし、寄付を募る活動はそれなりに存在するので、活発とは言えないものの、寄付やボランティアにおいてある程度の順位になるのは当然だろう。つまり、ランキングの結果は「日本人は見知らぬ他人をまったく助けない」という部分に集約されているのだ。
一連の話は、比較調査を見慣れている人にとって特段、驚くべき内容ではない。
日本人が他人を信用しない傾向が顕著であることは、すでに多くの調査結果が示しているからである。例えば、総務省が18年に行った調査によると、「ほとんどの人は信用できる」と回答した日本人はわずか33.7%しかおらず、その割合は各国の半分しかなかった。基本的に日本人は他人を信用しないので、他人と関わろうとしない人が多く、それが今回のランキング結果にも反映されている。
では他人を信用しないことは、私たちにとってメリットなのかというとそうではない。なぜならば現代資本主義社会は、見知らぬ他人を信用することによって初めて成立するシステムだからである。つまり、他人を信用できないと、資本主義社会において圧倒的に不利になってしまうのだ。
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