ドワンゴ、「ゆっくり茶番劇」商標権放棄交渉や無効審判請求へ 相談窓口も開設

» 2022年05月23日 20時18分 公開
[ITmedia]

 動画サービス「ニコニコ動画」などで親しまれてきた「ゆっくり茶番劇」が第三者に文字商標として登録された問題で、運営元のドワンゴは5月23日、商標権者に対して放棄交渉を始めると発表した。放棄に応じなかった場合は、商標登録の無効化を目指し、無効審判を請求する。また、第三者による商標の独占化を防ぐため、関連する「ゆっくり」系の複数の文字列を特許庁に商標登録する方針も示している。同社は商標出願について「権利行使のための出願ではない」としている。

photo 「ゆっくり茶番劇」(出典:ドワンゴの配布資料)

 この問題は、「柚葉」を名乗るYouTuberが5月15日に「ゆっくり茶番劇」を商標登録した上で、年間10万円の使用料を請求すると自身の公式Twitterアカウントで発表したことで問題が表面化。ドワンゴによると、ニコニコ動画では10年以上の歴史と80万本以上の作品数があるといい、動画投稿者らが培ってきた“文化”を独占し、“商標ビジネス”として私物化する動きに、多方面から反発の声が挙がった。

無償の相談窓口も開設 クリエイター保護へ

 これを受け、ニコニコ動画の代表で、同社の栗田穣崇COO(最高執行責任者)は、法務部と担当の法律事務所と相談すると自身の公式Twitterアカウントで発表。20日に同社は、「『【ゆっくり茶番劇】<動画タイトル>』や『【ゆっくり劇場】<動画タイトル>』のような動画をニコニコ動画に投稿することは、当該商標登録にかかる商標権を侵害することはなく、問題はない」との声明を出した。

photo ドワンゴの声明

 商標権の権利者はその後、権利放棄する方針を示したものの、現時点でも商標権を保有している。このため、今後動画投稿者らが商標使用料を請求される可能性があるとして、無償の相談窓口を5月23日付けで開設した。請求された内容に応じて、動画投稿者らに警察や法律事務所などを同社が紹介する。

photo ドワンゴの対応

 ドワンゴは「今後とも関係各所と連携を図りながら、ネットクリエイターの方々が安心して、創作活動を楽しめる環境を守っていく」としている。

 

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