山梨・南アルプス市、外国籍14人にコロナ給付金140万円誤送金 1人は帰国済みも「10人分は返還にめど」山口・阿武町に続き(1/2 ページ)

» 2022年06月03日 06時30分 公開
[ITmedia]

 新型コロナ対策として非課税世帯に支給する「臨時特別給付金」に関し、山口県阿武町が4630万円(463世帯分)を1世帯に誤送金した問題が全国的な注目を集める中、同様の事案が他自治体でも発生している。山梨県南アルプス市はこのほど、支給対象外の外国籍の技能実習生14人に計140万円を誤送金したと発表した。市は14人に謝罪するとともに、返還を求める方針を示しており「支給対象者の確認にミスがあった」としている。

photo 給付金のイメージ(提供:ゲッティイメージズ)

 14人の内訳は中国籍13人、タイ国籍1人。このうち10人は返還の意思を示しているといい、一部は既に返還されているという。研修期間満了で既に帰国済みの中国籍1人を除く、残り3人に関しては今週中にも面会し、返還を求める。帰国済みの中国籍1人に対しても、返還に向け、対応を検討する。

臨時特別給付金とは?

 臨時特別給付金では、国または各自治体が10万円を支給する。世帯全員の2021年度分の「住民税均等割が非課税」の「住民税均等割非課税世帯」と、新型コロナの影響で21年1月以降の収入が減少し「住民税非課税相当」の収入になった「家計急変世帯」に対しては国が支給する一方、世帯全員の21年度分の「住民税所得割が非課税」の「住民税所得割非課税(均等割のみ課税)世帯」に対しては各自治体が支給する。

photo 給付金の支給対象について

直接申請のケースでミス発生

 このうち自治体の担当分に関しても申請方法が2種類ある。課税情報を基に、非課税世帯にハガキで支給対象であることを示す証明書を郵送し、返送してもらう方法と、21年1月2日以降の転入者を対象に、住民自ら直接支給申請する方法だ。支給ミスが発生したのは直接申請のケースだ。

 給付金は住民税非課税世帯を給付対象としており、租税条約によって住民税が免除されている外国籍の技能実習生は、対象外。タイと中国はいずれも条約締結国だった。本来は市が、住民税非課税世帯のリストから除外する必要があったものの、市とシステム事業者の確認ミスで誤送金が発生した。「同じ条件で他に支給された人がいるのに、なぜ自分はもらえないのか」という外国籍住民からの指摘で発覚したという。

 市によると、給付金の支給対象者は約5500人。リストにミスがないか、全員分を確認するのが難しく、一定数ごとに無差別に抽出する方法で確認していたという。

 「今後はシステム事業者と連携を密にするなど、これまで以上に確認を徹底し、再発防止に努めたい」(南アルプス市福祉総合相談課)

photo 南アルプス市役所の庁舎(出典:公式Webサイト)
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