日本でオフプライス業態を成功させるには、不安定供給である純粋な売れ残りを計画的に集め、消費者が魅力的と感じる店舗づくりをする必要がある。これらの課題を解消するには、本末転倒だがオフプライスストア“オリジナルの商品”をつくらなければ実現しにくい。
国内ブランドは別としても、海外に本社があり自社のアウトレットも抱えるハイブランドが、オフプライス業態への定期的な供給を許してくれない限り、米国で成功を収めているファッション系ディスカウントストア「T.J.maxx」のようなチェーン展開のは難しいのではないだろうか。
個人個人で不用品を持ち込み循環させていくリユース・ビジネスと、現在の流通段階から生まれる商品を供給元とするオフプライス・ビジネスでは、同じグリーンエコノミーとしても、土俵が全く違う。
グリーンエコノミーがもっと普及して、消費者自身が“消費する意味”について理解を深めれば話は別だが、いずれにしても日本でのオフプライス・ビジネス運営の難しさは、米国以上に大きなハードルが横たわっているように見える。
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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