ファッションのトレンド以上にジェンダーフリーが進んでいるのがコスメです。そのはしりといわれているのが、男性・女性問わずに訴求しているコスメブランドの「オルタナ」です。オルタナジャパン(東京都渋谷区)の諫見祐子社長と話をしていて、私は「これからのコスメはますますジェンダーフリーになっていく。しかも、男性が疲れた顔でだらしなく仕事をしていたら、ダメオヤジに見られるので、そろそろ男性も肌年齢に気を使うべき」ということを実感したのです。
このようなアイテムの登場が、日本の男子に「ケア」という概念を実感させて、少しずつその市場が拡大しています。
インテージの調査によると、20年におけるメンズコスメ市場の規模は、16年比で112%となっています。20年も前年比104%です。カテゴリー別では、基礎化粧品が伸びています(16年比116%)。メンズでスキンケアの関心が特に高まっているのです。
それに加えて、BTSや韓国アイドルがみな、コスメ好きであることは大きな拡大要因です。韓国のアーティストやアイドルグループの男の子たちはコスメ好きで、それぞれ自分の化粧ポーチを持っています。それに憧れる韓国男子は9割以上の確率で自分のバッグの中に化粧ポーチを入れているのを韓国で調査して驚いたと、私の友人であるファッション誌編集長が教えてくれました。すでに韓国では男性が化粧をするのは当然であり、その流れが世界に拡大しています。
これからの時代、もともとの男女の体の違いはあるにせよ、ファッションや意識、好み、そして商品をつくるメーカーサイドのモノづくりは変わらざるを得ないでしょう。ジェンダーフリーはこれからの商品企画に必須の条件となり始めたのです。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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