人材不足による属人化に苦しむ現場を、わずか3年でどうデジタル化したのか? TMESに見た改革への軌跡創業50年以上の企業事例

» 2023年02月14日 10時00分 公開
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 日常業務において、さまざまな影響を及ぼす「属人化」問題。これは業界・業種を問わず、広く企業が抱えている重要課題といえる。特にDXが加速する現在、情報の共有化、業務効率の向上、社員の負担軽減などを実現するためにも、ぜひ解消しておきたいところだ。

 このような状況下、50年以上にわたり建物施設設備のメンテナンス、管理事業を柱とするTMESでは、積極的なツール導入によるDXを推進しその課題解決に取り組んでいる。今回は、マニュアル作成・共有システムを提供するスタディストが開催したオンラインセミナー「ヒトの生産性について考える1日」(2022年12月8日開催)へ登壇したTMESセッションから、同社で実際に行われた属人化解消事例、それに伴うDX推進について紹介していく。

労働人口不足からの属人化 TMESが抱えていた人材育成の「難」

 そもそもTMESは、属人化に類するどういった課題を抱えていたのか。同社の研修企画部 長であり、データサイエンス室長でもある針替崇行氏は、業務で複数の機器、ツールを活用するにあたり、大きな壁が見られたと言及。「少子高齢化に伴い人手が不足し、OJTなどを通じた現場での社員の人材育成、即戦力化が困難になった。結果として属人化傾向が高まり、個々の成長が止まってしまうリスクを抱えていた」(針替氏)という。また、同社で扱う設備の専門家の人数がいずれ需要に追いつかなくなる懸念もあった。管理工数が小さい設備でも属人化は起こりやすく、緊急時には特定の社員を呼び出して対応せざるを得ないなどの問題点も訴えた。これは社内の人材流動性、従業員エンゲージメントの低下を招きかねない状況だ。

 これらに対し「誰でも一定の作業が実施できるようになる」ことが最良の解決策と判断したTMESは、19年に社内の意識改革、デジタル変革に着手。同時に事業所での属人化解消ツールとして、スタディストが提供する「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」の小規模導入もスタートさせた。当初メインで導入を進めたのはDX推進部で、その後データサイエンス室がBIツールを用いて社員の行動を分析、問い合わせが起こりやすい設備の特定などを行った上で「Teachme Bizで何をマニュアル化するか」の優先順位を検討。制作した各種マニュアルを活用し社員の教育時間の削減や早期戦力化、サービスの品質維持・向上に努めるなど入念な導入計画を遂行した。

photo TMESが推進した属人化解消へのフロー。針替氏はTeachme Biz導入当初、100事業所を巡回し「人材不足でOJTも満足にできない」などの社員の声を聞きながら、意識改革を推進した(出所:TMES資料より。以下同)

 スモールスタートでTeachme Bizの有効性を確認、徐々に社内での利用を進めたことで、事業所への導入も容易になっていく。実際に現在、TMESのデジタル化を担っているDX推進部の苅込春香氏は、当時から現在までの3年間を振り返り「マニュアルの作成、閲覧ともに22年度は前年比150%と大幅増加した」と語る。

社内課題解決のため、マニュアル作成に力を入れる

 では具体的に、属人化解消にどのような効果があったのか。針替氏と苅込氏は「ひと目で理解できるマニュアルが存在することで、誰でも作業手順を習得しやすくなったことが大きい」と話す。Teachme Bizでは、文字や写真だけではなく動画を使ったマニュアル制作も手軽に行えるため、本来であればフェイストゥフェイスで教えなければ伝えきれないような専門的知識も理解しやすく、社員個人の能力向上にも好影響を与えた。多くの社員が専門知識を身に付けることは当然、属人化解消にもつながっていき、従来のように個人に負荷がかかるという事象も解消できたという。

 針替氏は「マニュアル内容は、現場の作業担当者と二人三脚で制作した。作業の様子をその場でマニュアル化し、完成後は実際にマニュアルを見ながら現場作業を遂行できるのか、自ら実践して確かめた」と語り、推進者が一方的に導入を進めるでも、現場担当者に任せきりにするでもない、両者の協業と密なコミュニケーションがスムーズな導入に寄与したと説く。

定着が難しいIoT機器やツールの利用を促しDX推進にも寄与

 またTeachme Bizは、現場作業の習得だけでなくDX推進に関しても大いに貢献した。自社開発した設備情報管理システム「T-MET®」や、LiLzのメーター遠隔自動読み取りサービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」のIoTカメラなど、設備管理業務を効率化する機器やツールのマニュアルを全てTeachme Bizで作成。具体的には、これらを利用する際に必要となるアプリのインストール、設定方法を字幕付き動画で解説し、再生するだけで操作を理解できるマニュアルを完成させ、活用を促した。

photo TMESが推進する、DX型保守保全サービス。自社開発システムや最新IoTカメラなどを積極的に取り入れ、顧客満足度向上に努めている

 中でもT-MET®は機能が多数あり、現場で利用が進まないという課題があった。そこで、便利な機能を分かりやすくTeachme Bizでマニュアル化し公開したところ「分からない機能は使わない」から、「マニュアルで便利な機能を知って活用する」に社員の意識が変化。利用率が明らかに向上していった。マニュアルを通して「目で見て」「手を動かしながら」業務を習得できる環境は、社員個人の技術力を伸長させてDX推進の一助となっただけではない。テクノロジーを利活用した業務を前進させられたことで、結果的に顧客サービスの向上にもつながっていった。

 これら側面から、TMESはTeachme Bizを高く評価。その他、取り組んでいるDX推進施策で扱われるツールに比べてもTeachme Bizは完成度が高く、各事業所への導入・浸透も想定以上のスピードで進んでいる。単に使いやすいだけでなく、疑問点があれば充実したヘルプを見ていつでも対処可能なことも、社員にとって受け入れやすい要素だった。

「導入推進者は常に手厚いサポートを」 ツール定着への工夫は

 とはいえ、Teachme Biz導入が思うように進まない事業所もあり「導入計画にはやや遅延した部分もあった」と針替氏。それに対しては、100以上の事業所を訪問し、対話をした経験から「今、導入が進まないのは現場にニーズがないからではない」という確信があった。DXに理解のある事業所から先行事例を作り、その実績からTeachme Bizの使いやすさを社内の口コミで広げていくなどの草の根活動に徹した。

 その他にも、一部の事業所における「導入はしたもののマニュアル制作が進まない」理由も判明した。原因としては空調設備管理業務の繁忙期である夏の1〜2カ月前に導入すると、実作業のシーズンにマニュアル制作、技術習得が間に合わないことにあった。そこで導入時期の仕切り直しを行い、スムーズなマニュアル制作につなげていくことに注力。さらに導入説明会を丁寧かつ具体的なものに改め、事業所にとって聞き入れやすい形を模索した。

 またTMESでは、社内でTeachme Biz専用コミュニティーを立ち上げ、優良なマニュアルを共有する、コミュニティー内で質疑があれば解消できるようにするといった工夫も意企する。導入説明会ではマニュアル制作についても支援するよう努め、説明会そのものも繰り返し実施。具体的にどんなマニュアルが制作できるか、いかに簡便に制作作業が行えるかを強く訴求した。

photo 「手厚いサポートと、疑問に答える環境づくり」が重要だと説く、TMESの苅込氏(右)と、針替氏(中央)。左はモデレーターを務めるスタディストの木本俊光氏(社長室/Teachme Biz プロダクトマーケティングマネジャー)

 継続してTeachme Bizを活用してもらうため、同社では利用者アンケートも実施している。そこでは好意的な意見とともに、ExcelやWordで制作した既存のマニュアルをTeachme Bizに変えたい、説明会の再開催を希望するなどの声が上がっている。特に再度の説明会を希望する事業所では、基本操作や詳細な機能について知りたいとの意見が多く、それに応えて説明会の資料や簡単な制作ルールについてはマニュアルとして公開。また、説明会で出た質問をまとめ、Teachme Biz内で閲覧できるよう配慮した。こうして全体のマニュアル数が増えていく中、テンプレートの要望や類似業務を行う事業所のマニュアルを見たいという意欲的な声も継続的にキャッチアップし、適宜対応している。

photo 説明会の様子。会社に対して社員教育の時間削減、作業品質の向上が問題となっていることを共有、その解決のためにTeachme Bizを導入すべきであるとアピールしたと話す苅込氏。「なぜ導入するのか、全員が納得した上で利用開始してもらうことが重要」(苅込氏)

 苅込氏はこれら同社の取り組みを振り返りながら、「事業所に定期的にコンタクトをとり、Teachme Bizをどのように使用しているか、どんなマニュアルを作っているかを確認した。導入推進者は常に手厚いサポートを心掛け、少しでも現場の困りごとを減らすことが重要だ」と説く。針替氏もまた、これまでの過程を鑑み「属人化解消、DX推進においては、課題解決関係者の熱意が何よりも大事になると実感した」と強調。両者とも、現在もその熱意を持ってTeachme Biz活用に携わっていると述べた。

マニュアル自体の進化を支え、確実な事業発展に結び付けていく

 Teachme Bizの導入に成功した同社は、その魅力を「修正がしやすい、修正部分の共有が簡易にできる点」(苅込氏)だと認識している。

 マニュアルは一度制作しても修正を重ねていくことが必要であり、その点から考えれば操作がステップごとに分かれているTeachme Bizは、現場の業務変更を伝える負担を減らせる。さらに、公開したマニュアルはクラウド上で保存、管理できる。事業所に常駐する社員や現場で作業する社員という立場の違いがあっても、同じタイミングでチェックでき、修正されれば即時、最新版を確認できるというメリットがある。

 同社は今後、事業所単位で制作したマニュアルを使って業務の事前学習を行った後に現場へ送り出す流れを実現し、新しく異動・入社した社員をサポートしていきたいと話す。さらに社員として知っておくべき基礎的知識のマニュアルも拡充し、社内の人的流動が容易になるようつなげていく考えだ。

 「Teachme Bizの活用により、当社が提供するサービスの品質向上が確実に実現できている。マニュアルも絶えず修正を加えることで、個人の能力も伸びていく。これは大きな収穫だ」。針替氏はこのように述べ、笑顔を見せた。

 人材教育の効率化を図り属人化を解消し、かつ多様な機器、ツールの利用度や理解度を高めることでDXをより前進させたTeachme Biz。TMESの事例を参考に、ぜひ自社の課題解決にTeachme Bizを役立ててみてはいかがだろうか。

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