牛丼、天丼、かつ丼に次ぐ丼物のファストフード業態として、カルビ丼が新たに台頭してきている。
「焼肉きんぐ」の物語コーポレーションが、2021年8月よりカルビ丼とユッケジャンスープをメインにした「焼きたてのかるび」を新しく展開し始めた。
それに対して、吉野家ホールディングスも負けじと、23年2月にカルビ丼とスンドゥブの専門店「かるびのとりこ」を新提案した。
焼きたてのかるびも、かるびのとりこも、店名だけ聞けば焼肉店のようであるが、カルビ丼をクイックに提供する焼肉店や韓国料理店を簡素化した店という点が共通している。
さらには、カルビ丼とスン豆腐(スンドゥブ)の専門店として、「韓丼」というチェーンがある。このチェーンは13年前に京都より展開を始めており、株式会社やる気(京都市)が経営している。
いずれも入口で食券を買う方式で、先に精算。注文カウンターで食券を渡して、料理ができ上がるのを待つ。注文を受けてから料理をつくるので、提供まで若干の時間がかかる。
ハンバーガーになぞらえると「モスバーガー」や「フレッシュネスバーガー」のような業態で、ファストフードというよりも、ファストフードとファミレスの中間的な、ファストカジュアルに分類される。米国で最も勢いがある外食が、ファストカジュアルといわれる。
これら3店は、カルビを平仮名で「かるび」と表記したり、スンドゥブをスン豆腐と表記したりと、違いを出そうとはしている。しかし、結果的にかもしれないが、よく似ている。
焼肉を丼にして提供する店というと、今は東京から消滅してしまった、焼き牛丼の「東京チカラめし」が思い起こされる。
東京チカラめしは11年に東京・池袋に1号店を出店して以来、怒涛(どとう)の快進撃で一世を風靡(ふうび)。わずか1年3カ月で100店を突破したが、スタッフの教育不足による店舗運営やサービスのレベル低下などが原因で、急速に衰退。現状は、千葉県鎌ヶ谷市と大阪市に2店が残るのみだ。
カルビ丼専門店は、東京チカラめしの失敗を乗り越えて、吉野家や焼肉きんぐのように日本を代表する外食チェーンとなって、輝くことができるだろうか。
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