「改正リース会計基準」が2026年度にも強制適用か! 円滑対応に必要な4つのポイントを徹底解説企業の経理/会計業務に大影響

» 2023年06月12日 10時00分 公開
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 日本の会計基準を策定する企業会計基準委員会(ASBJ)が、2019年から検討を進めてきた「改正リース会計基準」。この新基準の公開草案が、23年5月2日に発表された。

 企業の経理/会計業務に多大な影響を与えると見込まれる新基準。「最大のポイントは全ての借り手リースに対して、ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引をなくし、原則全てオンバランスする単一の会計処理に統一したことにあります」と解説するのは、プロシップの巽俊介氏(取締役 システム営業本部 本部長)だ。

会計 プロシップ 巽俊介氏(取締役 システム営業本部 本部長)

 国内ではこれまで、主にOA機器や自動車などのオペレーティングリース、さらにテナントなどの賃貸契約に関して、借り手側の資産計上を求めてこなかった。対して新基準では、金銭により使用権を得ている取引(リース契約やレンタル契約、不動産賃貸契約)は、原則全て使用権として資産の計上を企業に求めている。

 草案の発表により、強制適用期日もほぼ明らかになった。公開草案では「会計基準の公表から原則的な適用時期までの期間を2年程度とし早期適用を認めることとした」と明記されている。

 基準公表から強制適用までの期間が長引くほど国際財務報告基準(IFRS)と整合しない状況が続くことから「改正リース会計基準は今後、24年3月までには基準書が公表される可能性が高く、それから2年を確保するとなると26年4月以降に開始する事業年度から(3月決算企業の場合)強制適用になると考えるのが自然です」(巽氏)

多拠点を構える企業ほど影響は“大”

 改正リース会計基準では、オンバランス化が求められる契約が多く、対応作業が一筋縄ではいかないことは容易に想像できる。そもそもオペレーティングリースや賃貸などは、現場による契約と請求書の支払いで業務が完結し、資産計上しようにも本社経理は契約情報が把握できていないケースも多い。それ以外にも新たに発生する作業は多岐にわたる。

 作業の詳細を知るためには、改正の基礎となっている、IFRS16号(リース)適用時の取り組みが参考になる。巽氏によるとIFRS16では「年度決算」「月次業務」「日次業務」「予算策定業務」のそれぞれで、次のような取り組みが求められたという。

年度決算:開示資料作成と減損兆候判定。および、前者のための広範な情報収集と、後者のためのシミュレーションの仕組みの整備など。

月次業務:仕訳パターンの追加や条件変更時のリース債務の再測定など。

日次業務:オペレーティングリースを資産登録する業務プロセス/システムの構築など。

予算策定:業績指標などへの影響を勘案した投資予算の対象範囲の見直しなど。

 なお、改正リース会計基準には借り手の重要性が乏しいリース契約の取り扱いに関し、現行のリース会計基準と同様、1契約あたりのリース料総額が300万以下の契約はオフバランス処理が継続できる見通しだ。

 「この定めにより、動産を対象とする一般的なリース契約の多くはオンバランス化を免れる可能性が高いでしょう。ただし、不動産の賃貸契約は額の大きさからそれが難しい。必然的に、賃貸オフィスを利用する企業を皮切りに、飲食や小売り流通、物流企業、不動産業など、拠点が多い企業ほど、対応の労力と業務への影響が大きくなります」(巽氏)

4ステップで段階的に準備を進めるべき

 対象と行うべき業務の広範さから、改正リース会計基準への対応は一筋縄では難しい。とはいえ時間的な猶予もそう長くは残されていない。巽氏は「強制適用期日までに対応が間に合わなければ、決算に大きな影響が及ぼすことも考えられます。最悪の事態を避けるために、できる限り早期に対応作業を開始すべきです」と警鐘を鳴らす。

 そんな中、対応作業の支援で多くの企業から支持を集めるのがプロシップだ。固定資産およびリース資産管理ソリューション「ProPlus」を武器に、すでに国内および海外子会社のIFRS適用企業約100社のシステム導入を支援してきた。プロシップでは改正リース会計基準への対応について、これまでの経験から次の4ステップで段階的に対応を進めるよう推奨している。

 第1ステップは「現状把握と影響分析」。そこで大事なのは本社経理が改正リース会計基準を正しく理解すること。その上で、まずは新基準におけるインパクト分析が不可欠である。

 「リース契約のオンバランス化に伴い、売り上げや利益などは変わらず、資産が増えることでROA(Return On Asset:総資産利益率)の低下や、ROE(Return On Equity:自己資本利益率)の変化などが予想されます。各経営数値の意思決定に与える影響は小さくないため、分析結果の早急なマネジメント層への報告も欠かせません」(巽氏)

 第2ステップは「会計方針の検討/決定」だ。改正リース会計基準では見積要素が多く「リース期間」「重要性基準」など企業が個々に検討することも多い。特にリース期間は新基準では必ずしも契約書に記載の期間とは一致しないことも想定される。新基準におけるリース期間は「解約不能期間」+「合理的に延長/解約が可能な期間」として定義されているが、このうち後者は経営者の考えに多分に左右されることから複数のシミュレーションを行いつつ、自社に最適なリース期間を定義していくことが求められる。

Excelで対応が難しい場合はシステム化の検討も

 あわせて、B/Sに計上するリースの使用権資産とリース債務の残高管理のため、新たな業務プロセスも検討する必要がある。具体的には本社経理が主体となり、現場と本社経理のリソースやリテラシーを基に、どこで、どう契約情報を登録・管理すべきかを見極める。

 各種ワークシートの展開やシステム対応の検討も重要だ。リース契約のオンバランス化に伴い仕訳起票が約3〜4倍に増え、人的ミスなどによる誤謬(ごびゅう)リスクの増加も予想される。単純ミスの一掃に向け、人手作業のシステム化は必須といっていいだろう。

 第3ステップが「業務設計/システム導入」だ。これまでの検討内容を踏まえ、改正リース会計基準のための新たな業務プロセスを策定。システムも改修し、運用のための人材も育成する。

 最後のステップが「運用トライアル」だ。新たな業務プロセスやシステムの運用結果を基に必要に応じて修正し、実運用につなげる。

 一連の取り組みを通じ、「会計」「業務プロセス」「システム」「子会社展開」の各領域で下記の図のように作業を進めるのが基本のアプローチになると巽氏は話す。プロシップはProPlusでの「システム」整備を中心に、IFRS16での先行事例を生かして広範な領域を支援する。

会計 リース会計対応プロジェクトのスケジュール例(画像提供:プロシップ)

影響額試算からシステム導入までを後押しする“知見”と“ツール”

 改正リース会計基準への対応はどの企業も初めてのこと。企業にとってプロシップは、知識や経験を補完してくれる頼れる存在といえる。同社は知見を広く提供すべく、数年前から定期セミナーの開催にいち早く乗り出し、今では特設Webページで改正リース会計基準の最新動向のほか、陥りやすい失敗など幅広く情報を発信している。

 「IFRS対応の事例を踏まえると、移行データの作成に多くの企業が苦労することが考えられます。その原因は、会計方針検討の不十分さによる手戻りが多発するためです。それらは体験しなければ気付きにくく、情報の事前入手により作業を確実に円滑化できるはずです」(巽氏)

 改正リース会計基準対応の出発点となる「現状把握と影響分析」を効率化する「影響額試算ソリューション」の存在も見逃せない。同ソリューションは、契約書に記載される「リース料」「リース期間」など必要最低限の情報入力により、リース契約のオンバランス化による影響額の試算を可能とした。契約期間や割引率を変えた試算も簡単に行え、経営層への報告や監査法人との折衝に大いに役立つ。

会計 23年5月にリリースした「リース会計影響額試算ソリューション」(画像提供:プロシップ)

 SaaS形態での提供であり、利用料も安価かつグループ会社への展開も容易に可能となる。登録データをProPlusの移行データとして利用する機能拡張も計画しており、近い将来にはデータ収集ツールとしても利用できる。

 改正リース会計基準により、この数年のうちに原則、あらゆる企業にリース資産のオンバランス化が求められることになる。プロシップのProPlusは、その管理基盤として中堅から大企業までさらに活用が進むはずだ。

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提供:株式会社プロシップ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年6月29日