保険不正のネクステージ、株価急落で報道機関に「法的措置を検討」時価総額1000億円減

» 2023年09月15日 11時30分 公開
[ITmedia]

 ビッグモーター(BM)で発覚した保険金の水増し請求を機に、中古車販売業界で不正が相次いで発覚し、各社の報道が加熱する中、事態が思わぬ展開を見せている。保険の不正に関する報道で時価総額が1000億円以上減少したとして、中古車販売大手ネクステージが、印象操作を行った報道機関や事実と異なる取材への協力者らを対象に「法的措置を検討する」と声明を発表した。一部の報道内容を「組織的なものではない」と否定している。

photo ネクステージの店舗(出典:同社公式Webサイト)

保険契約数の水増しなど発覚 一部報道に不満あらわ

 同社はタイヤ交換での不正や、自動車の販売価格の値引きを使った保険勧誘、保険契約数の水増しなどの不正があったと公表。その後も、文藝春秋など報道機関の質問に一問一答形式で見解を示していた。

photo

 だが、ネクステージは一部の報道機関の記事内容に不満があるようだ。同社は声明文で社内にBM出身者がいることに触れた上で「公表済みの事案について、時期や件数を考慮せずにその一部を切り取り、または、それらの原因に当社の組織性、とりわけ当社の役職員にBMでの勤務歴がある者がいることをとらえて、同社と同じ企業風土であるからと言及するものが見られる」と批判した。

 実際、報道各社は現役社員や元社員らへの取材を基に「ビッグモーターよりもエグイ営業」(文春オンライン9月9日付記事)、「ほぼビッグモーター」(FNNプライムオンライン9月12日付記事)などとBMとの関連性を強調して報道している。

1週間で株価ほぼ半値に BM出身社長が辞任

 こうした報道を受け、同社の株価は9月5日の1株3470円を境に、翌日から急落。同月12日には一時、同1848円まで下落した。同社によると、時価総額で1000億円以上が減少したという。

photo ネクステージの株価(出典:Google)

 影響は経営陣にも及び、ネクステージは同月11日、BM出身で22年に社長に就任していた浜脇浩次社長が辞任し、創業者の広田靖治会長が社長を兼務する後任人事を発表していた。

photo

「企業風土とは無関係」強調 「印象操作報道には法的措置」

 ネクステージは「過去に数件の不適切事案が生じたことを真摯(しんし)に受け止め、反省している」としつつ「当社で発生した不適切事案は、その都度該当社員の処罰などの処置をとっていることから分かる通り、組織的なものではない。当社の企業風土とは無関係」と強調。「あたかも組織ぐるみで不正事案を生じさせていたかのような印象操作を行う報道に対しては、今後然(しか)るべき法的措置をとることを検討する」と一部の報道をけん制した。

photo

 法的措置の対象は「BM社と同じ企業風土であるかのように断定的な報道をした報道機関や、事実と異なる報道に協力した個人ら」だという。

photo

 中古車販売業界では、BM、ネクステージに続き、グッドスピードでも事故車の塗装作業において、保険金の不正請求が判明している。このうち、BMとネクステージと取り引きがあり、出向者を出していた損害保険ジャパン(損保ジャパン)は、社外弁護士による調査を実施し、根本原因の究明を進めている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.