「ココアシガレット」、フィナンシェで葉巻風に 中高年に人気「想定の3倍以上の売れ行き」SNS映えで若年層も購入

» 2023年10月19日 07時00分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 菓子製造を手掛ける三州製菓(埼玉県春日部市)が発売した「ココアシガーケイク」が中高年を中心に人気を呼んでいる。発売70年以上の歴史を誇るタバコ風の駄菓子「ココアシガレット」の味をフィナンシェで再現し、形状を葉巻風にアレンジした洋菓子。幼少期に食べて以来、ココアシガレットのファンだという同社の社長が、販売元オリオン(大阪市)に打診し、コラボが実現した。

photo 「ココアシガーケイク」(出典:公式Webサイト)

1951年発売の駄菓子 SNS映えで若年層の購入も

 4本入り864円、6本入り1296円の2タイプがあり、9月15日から店舗や三州製菓の公式ECサイトで順次販売を開始。三州製菓の斉之平一隆社長は「想定の3倍以上」となる約1カ月で約5万本(本数ベース)を販売したと明かす。「大阪の通天閣などの観光名所で、40〜50代の中高年を中心に販売が好調」(斉之平社長)だといい、中にはSNS映えを狙い、購入する若年層もいるという。

photo 4本入りタイプ

 ココアシガレットはシガレット型砂糖菓子として1951年に誕生。商品名の通り、砂糖とココアの甘さと、ハッカの香りを両立している。形状だけでなく、パッケージデザインも日本たばこ産業(JT)が販売する銘柄「ピース」に似ており、口に加えることで子どもも味わえる駄菓子として、長年愛されてきた。ピーク時には年間1800万個の出荷量があったという。

photo ココアシガレット(出典:オリオン公式Webサイト)
photo ピースのパッケージデザイン(出典:ANAの免税品公式Webサイト)

幼少期の体験、商品化のきっかけ こだわりの味と見た目

 「子どもの頃に好きだった。駄菓子屋で買って、口にすることで自分も大人になった気がした」。ココアシガレットファンだったという斉之平社長がオリオン側に打診する形で商品化が決まった。その際、タバコから葉巻へのマイナーチェンジを施した。

 開発段階では、本家ココアシガレットの味の再現にこだわった。ココアシガレットは砂糖菓子だったが、葉巻の太さを出しやすいよう洋菓子「フィナンシェ」を素材に。フィナンシェ本来の甘さを出しつつ、ココアシガレットの味も出せるよう、砂糖やココア、ハッカの理想のバランスを追求。試行錯誤を繰り返した。焼き目を強くし、商品自体を茶色にすることで、見た目も葉巻に近づけた。

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 発売後は「懐かしい」という声に加え、「再現度が高い」といった声が購入者から上がった。斉之平社長は「売り上げももちろんだが、こだわった点が消費者に無事に届いており、うれしい」と話す。現在は関西地域での販売が主となっているが「ココアシガレットを知っている人全員に食べてもらいたい」とし、今後は販売網をさらに強化する方針も示した。

photo 三州製菓の本社(出典:同社公式Facebook)

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