またもや耳を疑うような経営者の“愚行”が明らかになりました。
灼熱の暑さが日本列島を覆っていた8月下旬。カメラ用レンズ大手のタムロンの鰺坂司郎社長が、特定の女性との飲食などに、会社の経費を私的流用していたことが発覚。22日付で辞任したと発表、同社は弁護士らによる調査委員会を設置して全容解明を進めるとしました。
11月2日、調査委員会は報告書を発表し、そこに記されていたのが、鰺坂氏と同じく経費の私的流用があったと発覚した、前任の小野守元社長の以下の“言いわけ”です。
社長業のストレスを解消するためには、単独で飲みに行く、カラオケに行くなどしてストレスを発散する必要があった
(相談役になってからは)鯵坂氏による会社の経営に口出しをすることを我慢することにより生ずるストレスを発散する必要があった
さらに、鯵坂氏もまた、次のように述べていました。
社長就任の際に、小野氏から、交際費は接待費や部下の慰労のために使うほか、社長はストレスが大きく一人で考えることもあるため、一人で使ってもよい、その部分については必要経費であるという引き継ぎがあった
……確かに社長業はストレスでしょう。一人で考えなきゃいけないこともあるだろうし、一人になりたいこともあるかもしれません。
しかし、使うにもほどがあります。
両氏は、計1億6000万円を超える会社の経費を私的流用し、その内訳は、鰺坂氏が3000万円超、小野氏は1億3000万円超に達していたというのです。
鯵坂氏は、ドイツ、フランス、ラスベガス、ロサンゼルスに海外出張する際にも女性を同伴し、現地での豪勢な飲食代なども“必要経費“として会社に負担させていました。報告書によると、その女性は「ラウンジやクラブで鯵坂氏の担当ホステス」として接客していたそうです。
まったく……。開いた口が塞がりません。
タムロンは1950年に、埼玉県浦和市に社員数13人で「泰成光学機器製作所」として創業しました。その後、田村右兵衛が参画。現在の社名「タムロン」は、光学設計の第一人者であり同社の光学技術の基礎を築いた田村氏に由来しています。
同社のWebサイトにはこのような「創業の精神」が記されています。
わが社は世界光学工業界のトップをめざして、堅実に前進し、顧客の要望に適う個性豊かな高品質の製品を創造し、これを顧客の満足する価格で販売し、顧客の喜びから生ずる利潤に基づいて、企業を発展、充実させることにより、株主及び社員の幸福を実現することを基本理念とする
顧客の喜びから生じる利潤の私的利用を「社長業のストレス解消や発散」と弁明する小野氏、鯵坂氏という歴代2社長の豪遊ぶりを、田村氏はどう思うのでしょうか。是非とも聞いてみたいところです。
とはいえ、これまでも経営者による私的流用事件はありました。
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