新社名の「カナデビア」は、日本語の「奏でる」とラテン語で「道」を意味する「Via」を組み合わせた造語。令和3年ごろから新社名の検討を始め、700以上の候補の中から選んだ。外部に漏れることがないよう取締役などの限られたメンバーで話し合った。
三野社長は「奏でるには『多様性』や『協調』に加えて、物事をやり遂げるという『挑戦』の精神も含まれる。これに諸先輩が切り開き、われわれが新たに切り開く『道』を合わせて企業理念を表現した」と話す。事業説明ではなく、理念を表すための社名へとすることで、80年ぶりの大きな決断を下した。来年6月の株主総会を経て正式に変更が決定する。
東京商工リサーチによると、4年度に社名を変更した企業は1万9217社で、使用する単語にはカタカナやアルファベットが増え、「工業」や「日本」などの漢字が減少した。最も増加した単語は「ホールディングス」で、「テック」や「ソリューション」などの事業を表すものも増加数で上位となった。
企業の広告・宣伝に詳しい近畿大経営学部の川村洋次教授は「社名変更には新しい企業イメージを形成できるメリットがある一方で、社名への信頼という資産を手放すリスクもある」と指摘する。社名を変更する際は「TOPPAN」のように、これまでの社名や事業との連続性を意識したものにするのが一般的で、「カナデビアという名称はかなりチャレンジング(挑戦的)。世間への浸透だけでなく、社員に受け入れられる施策が重要になる」と話した。(桑島浩任)
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