バブル期の史上最高株価、年内に超える可能性(2/2 ページ)

» 2024年01月10日 16時23分 公開
[産経新聞]
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 「失われた30年」を経て、足元で潮目が変わってきたとの見方が出ている。

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、日経平均が年末に史上最高値となる3万9000円程度まで上昇する可能性を指摘する。その要因の一つとして、矢嶋氏は「日本経済が(モノの値段が下落し続ける)デフレから(上昇し続ける)インフレに変わった」と説明する。

 バブル崩壊後、日本はデフレに見舞われた。モノの値段が下がり続けると、将来的には現金の価値が上がる。例えば10万円のテレビの値段が、1年後に5万円に下がれば、1年後のお金の価値は2倍になることになる。

 つまり、手元のお金の価値が将来的には上がるデフレが続けば、お金を使わない人が増え、経済が停滞するのだ。

 逆にモノの価格が上昇するインフレに転換すると、将来的には手元のお金の価値が下がることになる。このため、手元に現金を置いておくのではなく、株などに投資する人が増え、株価も上昇しやすくなるというわけだ。

 さらに矢嶋氏は、バブル崩壊後にコスト削減で業績回復に努めた企業経営者の心理が「付加価値の創出」に変化してきたと指摘する。コストカットは人件費の削減を含むため、賃上げを抑制してしまう。だが、今春闘では企業の賃上げが相次ぐとみられている。

 また、矢嶋氏によれば、経済安全保障の観点から「設備投資が国内回帰している」ことや、今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)も、株価の上昇を後押しする要因になる。

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