景気回復に水差す「ダブル引き締め」が不安 もはや“日本の伝統芸能”森永康平の経済闘論(2/2 ページ)

» 2024年02月08日 08時26分 公開
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 また、金融政策の修正を行えば、マイナス金利を解除してゼロ金利政策に戻るだけではなく、その後は徐々に利上げをしていくのだろう、と国民に将来の引き締めを意識させることにもつながってしまう。

 時を同じくして、鈴木俊一財務相は衆参両院の本会議で財政演説を行い、「日本経済を建て直し、財政健全化に取り組み、希望ある社会を次の世代に引き継いでいかなければならない」と述べた。鈴木財務相の演説の翌日には自民党で財政健全化推進本部が新体制で始動した。新体制における最初のテーマは国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)や財政再建についてだったという。近いうちに増税が具体的に議論されるのだろう。

 日本はこれまで何度も景気の回復局面で金融や財政を引き締めて景気回復に水を差し、その後の停滞を招いてきた。もはや日本の伝統芸能になってしまっているのかもしれないが、岸田首相には同じ轍を踏まないようにしていただきたい。

森永康平(もりなが こうへい)

 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。


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