消費関連のM&Aも目立つ。資生堂は12月、高級スキンケア化粧品「ドクターデニスグロススキンケア」を展開する米DDGスキンケアホールディングスを4億5千万ドルで買収すると発表。今年に入っても積水ハウスが米住宅会社MDCホールディングスを約49億ドルで、カゴメが米トマト加工大手のインゴマーパッキングを2億4300万ドルで、それぞれ買収すると決めた。
積水ハウスは今回の買収が完了すると米国内の住宅引き渡し数が年間約1万5千戸と全米5位になる。仲井嘉浩社長は「良質な、安全な住宅を多く供給できるビルダーになれる」と、旺盛な米住宅需要の獲得に自信を示す。
人口減少で需要が縮む日本から、安定した成長が続く米国への投資は今後も拡大が見込まれるが、企業買収が常に歓迎されるとは限らない。
日鉄によるUSスチール買収には全米鉄鋼労働組合(USW)が反対し、11月の大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領が「即座に阻止する」と発言するなど米国内で政治問題化。大和総研の鈴木裕主席研究員は「日本にとって同盟国である米国での投資には政治的リスクは少ないとされていたが、そうではないことが示された」と指摘する。
自民党の甘利明前幹事長は11日のフジテレビの番組で、民間企業同士のM&Aであることを強調。政治家の“介入”に対して「引いた方がいい」と、米国内での動きをけん制した。(宇野貴文)
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