日本企業の“米国買い”が活発化 縮む日本から成長市場に布石(1/2 ページ)

» 2024年02月12日 10時45分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 日本製鉄や積水ハウスが米国企業の巨額買収に動くなど、日本企業の対米投資が拡大している。M&A(企業の合併・買収)助言会社のレコフ(東京)によると、2023年に発表された日本企業による米企業のM&Aの件数は前年比で約2割増、金額は約3倍に膨らんだ。人口増加や株高などで堅調な消費が続く成長市場に活路を求める。国内に投資を呼び込む米国の政策に対応する必要性にも迫られている。

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日鉄のUSスチール買収が押し上げ

 23年の日本企業による米企業へのM&Aは222件、金額は5兆3478億円だった。

 買収額を押し上げたのは、12月に米鉄鋼大手の名門、USスチールを約141億ドル(約2兆円)で買収すると発表した日鉄だ。決断の背景には「先進国では最も大きな市場で、これからさらに成長が見込める」(橋本英二社長)との認識がある。

 バイデン米政権が北米生産などを条件とする電気自動車(EV)の購入優遇策を導入したことを受け、鉄鋼メーカーの主要顧客の自動車各社がこぞって米国でEV生産の大型投資に動いており、買収によりEV向けの高級鋼板や電磁鋼板の需要を取り込む狙いだ。

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