株価一時最高値も「好景気」実感できず、なぜ?(2/3 ページ)

» 2024年02月22日 11時36分 公開
[産経新聞]
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景気悪くても株高に

 もうひとつ大きな相違点は、企業の収益構造の変化だ。当時、5割に満たなかったトヨタ自動車の海外販売比率が現在は8割を超えたように、大手企業は少子高齢化で成長期待が薄まった国内ではなく、成長余地の大きい海外で稼ぐことで収益性を高めた。

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 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「現在の国内企業の株価はグローバル化した企業の実力であり、日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映するものでなくなった」と指摘。国内景気が悪くても、海外での収益性が高まれば株価は上昇するようになり、「バブル期の『日本の景気=株価』だった情勢とは経済活動や収益の範囲もずれてきている」と分析する。

 34年前は5%に満たなかった日本株の外国人保有比率も今は30%を超え、株価高騰の恩恵の多くを海外投資家が受ける。国内では株式を保有する一部の富裕層や高所得者は潤うが、恩恵は一般的なサラリーマンまで波及せず、格差が広がる。

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