生ガキ5個4000円、1泊10万円超 高額な「インバウンド価格」続々(3/4 ページ)

» 2024年03月10日 11時21分 公開
[産経新聞]
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訪日客消費額は過去最高、富裕層取り込みが鍵

 政府は観光を成長戦略の柱とし、コロナ禍を経た復活に向けて「消費額の拡大」を重視する。観光庁の統計によると、令和5年のインバウンド旅行消費額(速報値)は過去最高の5兆2923億円に上り、政府が掲げる目標額の5兆円を突破。コロナ禍前の元年(4兆8135億円)と比べ約1割増えた。

 要因の一つとして宿泊数の増加が挙げられる。5年のインバウンドの平均宿泊数は10.2泊で、元年比1.3泊増。渡航制限の反動で滞在期間が延び、宿泊費や飲食費などが増えたとみられる。

 統計によると、インバウンド1人当たりの支出額は約21万2千円(元年比33.8%増)と、こちらも政府目標額の20万円を上回った。項目別では宿泊が約7万3千円と最も高く、次いで買い物が約5万6千円、飲食が約4万8千円だった。宿泊と飲食は欧米やオーストラリアで高く、買い物は中国が約11万9千円と突出して高かった。

 政府は昨年3月に閣議決定した観光立国推進基本計画で、海外富裕層がもたらす経済効果は「極めて高い」と言及。インバウンド回復に向けて富裕層に働きかけ、消費額増加への取り組みを強化するとしており、「観光産業の付加価値をさらに高め、『稼げる』産業に変える必要がある」としている。

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