それから半世紀以上を経た現在。都や北区などによると、全体の2割が空き家となり、残る住民も6割が65歳以上の高齢者となった。
団地の中央には、昭和の香りを残した万国旗のたなびく商店街。平日の昼間にもかかわらず、多くの店がシャッターを下ろしていた。
店舗の減少を受けて、団地では「何でも買える」時代はとうに去り、いまや「買い物難民」が問題になっている。
年をとって足腰の弱った住民にとって、広大な団地の外にあるスーパーなどへの移動は、大きな負担だ。
団地外への移動だけでなく、団地内の移動でも一部の棟にエレベーターがないことが住民の不満の種になっている。実際、最近は団地を去る住民も少なくないという。
それでも、多くの住民を団地にとどめているのは、人とのつながりだ。
各部屋に風呂がなかった頃、小さい子供が一人で銭湯に行く風景は日常だった。「団地の誰かが面倒を見てくれるから不安はなかった」と住民の女性。
女性は「今でも毎週火曜日は住民合同で体操をするなど、入居者同士のつながりは残っている」と話す。
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