5月2日に採用プラットフォームを提供する米グリーンハウスが発表したレポートによると、優秀な人材の採用に苦戦している企業は、自社の採用手法を見直した方が良い可能性がある。
1200人の求職者を対象とした調査では、回答者の半数以上(53%)が「おとり商法」を経験したと答えている。同様に、53%が「ラブ・ボンビング」を経験しており、過剰に褒められてお世辞を言われた上で、資格やスキル、経験に見合わない低い給与を提示されたと報告書されている。
「応募者にとって、採用プロセスは企業文化を垣間見る最初の機会です。ほとんどの求職者は、自分の時間を大切にし、頻繁にコミュニケーションを取り、透明性のある企業で働きたいと思っています」と同社CMOのヴァン・ヴァーレン氏は指摘する。
グリーンハウス社の最新レポートは、これまで一貫して調査結果が示してきたことを浮き彫りにしている。採用プロセスにおいて、求職者は採用担当者と同じくらい雇用主候補と面接している。
求職者は、採用プロセスにおいて自分がどのように扱われるかを、企業文化の表れとして解釈する、とヴァン・ヴァーレン氏はこの発表で説明している。長引く面接や誤解を招くような職務内容、候補者とのやり取りを自然消滅させるような行為は、候補者に不当な扱いを感じさせ、企業文化に好ましくない印象を与えてしまう。根本的で金銭的なコストも生じさせてしまうミスであると、同社CEOで共同設立者のダニエル・チャイト氏も補足する。
その結果、企業の優秀な人材の採用・維持能力が損なわれ「最終的には収益と将来の成長に影響する」とチャイト氏は話す。
重要な予防策の一つは、面接官が適切なトレーニングを受けていることを確認することだと、同社は以前から指摘してる。
例えば、適切なトレーニングを受けることで、面接官が偏見を示すような質問をしないようにできるという。今回の調査では、候補者の54%が年齢や人種、性別などに関する差別的な質問に直面したことがあると回答しており、2023年から20%増加していることが明らかになった。
また、HRコンテンツを提供するカナダのPeople Managing Peopleの調査結果によると、「家族のような会社」という表現も赤信号だ。候補者に対し、仕事と家庭の境界線がない企業文化であることを示している。
このような赤信号を避けるために、採用担当者は明確で専門用語を用いない職務記述書を作成し、金銭的な報酬や募集の理由について透明性を保つべきだと、People Managing Peopleはすすめている。
テクノロジーや自動化されたプロセスは、候補者とのつながりを保つのに役立つ。その一方で採用担当者は、特に人材が不足している場合、人間的な触れ合いが重要であることを忘れてはならないと、専門家は述べている。
人材クラウド企業の米iCIMSが2023年に発表したレポートによると、採用チームは、応募プロセスの面倒さと長さに対処する必要がある。ジョシュ・バーシンCEOは2023年、「求人の中には3カ月以上空席が続くものもあり、優秀な候補者は待ってくれない」と指摘した。
米iCIMSの調べによると、優秀な人材を失うだけでなく、人材獲得に失敗すれば企業のビジネスにも打撃を与える。調査に参加した労働者の半数以上が、応募や面接のプロセスが悪いと、そのブランドを愛用する可能性が低くなると答えている。
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