ニトリHDの直近の業績(2024年3月期)を見ると、売上高は前年比5.5%減の8957億円。営業利益も同8.8%減の1277億円、経常利益も同8.1%減の1323億円という結果に。
「36期連続で増収増益の記録がとまった」と報じられていましたが、為替の影響を考慮すると、この企業のスゴさがうかがえます。というのも2023年3月期には円安の影響で経常利益が381億円、2024年3月期には同380億円もの押し下げ要因があったにもかかわらず、経常利益率は15%前後で維持できているからです。
日本企業の利益率が上昇してきたとはいえ、10%を超える企業はまだまだ少ない状況です。この3年間で3割以上も円安が加速したにもかかわらず、この利益率を確保しているということは、円高を利用してもうけている企業ではないことを証明しています。
次に、資本効率を見てみましょう。他の3社と比べて自己資本比率が20%ほど高い状態でありながら、ROE(自己資本利益率)は同等かそれ以上あります。棚卸資産回転率を見ても、ニトリHDは他社と比べて高いパフォーマンスを長年維持しています。
棚卸資産回転率とは、1年間で在庫が何度入れ替わっているかを測るもの。「効率的な仕入れ」「在庫管理」「販売」の要素が組み合わさるもので、この期間は短ければ短いほど企業は資金繰りが「楽」になります。
ニトリHDは棚卸回転率の5年平均は4.3で、他社は2.3〜2.9。比べると1〜2カ月分の違いになるので、それだけ仕入れてから販売するまでの期間が短いことになります。ライフサイクルの長い家具をメインとしているニトリHDのほうが、ライフサイクルの短い衣料や雑貨がメインの企業よりも高効率であることは驚きです。
利益率が高くても、回転率が悪ければ、環境の変化や取引先・顧客の行動変容によって資金繰りが窮することも。変化する環境に対応しなければいけなくなるので、利益率の数字だけではなく、こうした回転率も見ていくとよいかもしれません。
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