ここからは統合報告書の内容を紹介しましょう。統合報告書とは決算内容だけでなく、非財務的な内容も記載されていて、そこから企業のキャラクターや何に注力しているかを読み解くヒントに使えます。
ニトリHDは「海外での仕事」「多様な職種」「インターン」という3つの要素が強いと考えられます。SPAという業態は商品の原材料の調達から、製造、在庫管理、配送、販売まで手掛けます。社内では製造部門だけでなく、商社機能も海外展開も店舗開発もDXもそれぞれ部署があり、学生には幅広く可能性を見出せます。
配置転換制度も充実しているようで、数年後、10年後の目標を設定して、そこから逆算して配属・異動が決まる仕組みとなっています。課されるタスクレベルは高いものの、きちんと結果を出せば給与に反映されているので、いわゆる年功序列型とは違うようです。また、インターンに参加した学生の約7割が入社するそうで、学生からは「最も役に立ったインターン」という声も多いです。ちなみに、新卒就職口コミサイト「楽天みん就」(現在は、みん就)が実施したインターンシップ人気企業ランキングで、「ニトリ」はトップでした。
ニトリHDといえば「円高銘柄」(円高の時に好業績を収める企業)というイメージをもっている人も多いかもしれません。ここ数年の決算を見ると、円安によって大きく利益を減らしているので「円高銘柄」とも言えるでしょう。
ちょっと歴史をさかのぼりますが、円高に進んだリーマンショックがあった2008年から2013年まで、ニトリHDは売り上げを伸ばし、営業利益も大幅に伸ばしました。為替と業績の関係を見ると「円高銘柄」というイメージをもたれるかもしれませんが、その後、円高が是正されてもニトリHDの株価は大きく上昇しました。その理由として、円高に一服感が出ても、市場は「売り上げも利益も伸びる」と予測し、さらに結果を出し続けてきたからだと考えられます。
時代の変化に対応→業績が良い→注目が集まる→人気が集まる→優秀な人材が集まる。ニトリHDは今、こうした好循環に入っているので、学生からも「この会社で働きたいなあ」という声が多いのではないでしょうか。
カタリスト投資顧問株式会社 取締役共同社長/ポートフォリオ・マネージャー
草刈 貴弘
大学卒業後、舞台役者などを経て2007年にSBIリアルマーケティングに入社。2008年にさわかみ投信に転じ、顧客対応部門、バックオフィスの責任者、アナリスト、ファンドマネージャーを経験し、2013年に最高投資責任者、運用調査部長、2015年取締役最高投資責任者に就任。2023年3月に現職のカタリスト投資顧問に入社し、同年6月に取締役共同社長に就任。
投資先企業の企業価値向上に直接寄与することで、日本企業の成長と資本市場の活性化と、個人投資家の財産づくりを両立することを志向する。ファンダメンタル分析を基にしたバリュー投資を軸に、持続的成長の転換点を探るのをモットーとする。現在、朝日インテック社外取締役。東洋大学理工学部卒。
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