なぜホームセンターは「大都市の駅前」に進出するのか カインズやコーナンが“おしゃれ店舗”に変身するワケスピン経済の歩き方(4/8 ページ)

» 2024年10月02日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

人口減の日本でホームセンターが生き残る道は

 つまり、人口が急速に減っているのだから本来は売り上げが落ちるはず。が、そうなっていないのは店舗を増やすことで、どうにか持ちこたえさせているという見方もできるのだ。ただ、人口減少が著しい地方ではこのスキームももはや限界なので「新客」を獲得せざるを得なくなった。人口減少のこの国で唯一、新客が取れそうな場所といえば東京や大阪という「大都市」しかないではないか。

 しかし、都会のド真ん中でガチの農業や工事に使うツールが売れるわけがないので、新たなコンセプトをひねり出さなくてはいけない。そこで狙いを定めたのが「ガーデニング」「ライフスタイル」「DIY体験」だったというワケだ。

 ただ、実はこの分野はかなり過酷なレッドオーシャンである。既に都市部には、ホームセンター業界よりひと足先に郊外から都市部に進出を果たした「強敵」が待ち構えているからだ。

 ニトリやイケアだ。

 ご存じのように、以前のニトリやイケアは郊外のロードサイドで大型店舗が主流だった。しかし、人口減少を見据えて2016年にニトリが都市型店舗を出店。2020年にはイケアも東京で都市型店舗をスタートした。これで普段、電車移動をしている都市部の人々、特に若年層を取り込んだのである。

2022年にオープンした「ニトリ 池袋サンシャイン60通り店」イメージ(出典:ニトリホールディングスのプレスリリース)

 つまり、大都市に次々と進出するホームセンターの狙いは、都市型のニトリやイケアの顧客を奪還することにある。それらの店舗をハシゴすればよく分かるが、キッチン用品、掃除洗濯用品、インテリア雑貨など、ほとんど同じ品ぞろえなのだ。

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