リクルートは過去の複数調査を踏まえ、ミドル世代(40〜59歳)の転職事情や転職時に感じている制約などを発表した。
リクルートエージェントの転職者データを分析したところ、ミドル世代の転職者数の伸びは全体よりも大きいことが分かった。同社は「これまで20〜30代を中心にキャリア採用していた企業が、昨今の少子高齢化を踏まえ、事業変革のために豊富な知見・経験を持つ人材の確保のためにミドル世代に採用ターゲットを広げている」と分析している。
リクルートとIndeedの「グローバル転職実態調査 2023」で、今後転職活動をする際に制約になると思うこと(複数回答)を調査した。その結果、1位は「年齢に関する制約」で52.9%に上った。20代では25.6%なのに対し、30代で48.9%、40代で59.8%、50代では78.1%と、年代が上がるほど不安が高まる傾向にあった。
2位は「経験に関する制約(経験職種や経験業界)」で、40代で34.8%、50代で26.6%だった。3位は「居住・出身地域に関する制約」で、40代が15.1%、50代が14.2%となった。
リクルートは上記の結果について「終身雇用や年功序列に代表される日本的雇用慣行が変化しつつある中、自社の戦略を担えるスキルや経験を持っていれば、年齢にかかわらず採用する企業も増えている。また、社外の賃金水準を参考にして他社に見劣りしないよう求職者への賃金水準を高める企業も増えている。今の仕事に悩むミドル世代にとって、転職にまつわる障壁が少なくなりつつある状況だ」と分析している。
ミドル世代の転職市場の活性化に伴い、賃金にも変化が見られる。リクルートエージェントのデータによると、ミドル世代で前職と比べて賃金が1割以上増えた転職者の割合は、2014年度の15.6%から2023年度で27.4%と、11.8ポイント増加した。この10年間で転職時に賃金が増えた人の割合は上昇傾向が続き、特にここ数年は伸びが顕著だという。
同社は「人手不足が深刻でミドル世代でも転職時に賃金が増える方も多い IT系エンジニアの転職者などが、こうした傾向に寄与しているとみられる」とコメントしている。
また、転職市場での賃金アップが社内の賃金アップにもつながっている傾向もあるようだ。内閣府の2024年度の「年次経済財政報告(経済財政白書)」(PDFより)によると、給与計算代行サービスが持つビッグデータの分析では、2023年には賃金の伸びが見られなかったミドル世代で、2024年の賃金はそれぞれ2.7%、1.0%上昇していたという。企業の人手不足感がミドル世代でも高まりつつあることが分かった。
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