では、なぜゴースト・オブ・ツシマは炎上するどころか高い評価を得ることができたのだろうか。その鍵となるのが、「歴史・文化への理解」、そして「エンターテインメントの最優先」だと考えられる。
エンターテインメント業界ではこれまで、往々にして「欧米の視点で見た日本」が描かれてきた。ハリウッド映画などでも日本の街並みや人々の振る舞い、言葉遣いなどに違和感を覚えた方も少なくないだろう。
こうしたズレは必ずしも悪意があってのことではなく、各時代における情報収集の困難さ、優先順位、制作コストといった制約も関係している。
これらの制約からくる「異文化の理解不足」は、エンターテインメントの範疇(はんちゅう)であれば、日本市場で大きな物議につながることはない(ネタ、ネットミーム化することはしばしばあるが)。
しかし、欧米中心史観などが前面に出た描写や「日本の文化や歴史は欧米によって教え導かれたもの」といったニュアンスが含まれる表現、「歴史における日本の責任」を半ば捏造するような描写が含まれる場合、当然ながら市場から強い反発を招くことになる。
そしてこの類の反発は日本に限った話ではない。制作者による文化や歴史への理解とリスペクトが欠如し、特定の思想を押し付けるような事態が発生した場合、どの国や地域でも同様の反発が起こり得る。
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