日弁連のガイドラインが指し示す第三者委員会の在り方に、疑問点がないわけではありません。
特に「学識経験者、ジャーナリスト、公認会計士などの有識者が委員として加わることが望ましい場合も多い」と弁護士以外の専門家が加わる必要性に言及しているものの「委員である弁護士はこれらの有識者と協力して、多様な視点で調査をおこなう」と、あくまで弁護士主導であるべきと読み取れる点は、気になるところです。
もちろん、日弁連のガイドラインなのでこの点は致し方ないのかもしれません。しかし、企業で実務経験のない弁護士が主幹を務めることで、不十分な検証、あるいは適格性を欠く改善の提言になるリスクは考慮されていないといえるのではないでしょうか。
法律家主導の第三者委員会による失態例として、2015年に東芝の不正会計調査で立ち上がった第三者委員会が有名です。当時の委員会は東芝経営陣の人選により、元東京高等検察庁の検事長である弁護士を長とした法律家集団に、会計士を加えた「士業チーム」。電機業界に精通した、マネジメントの専門家不在というメンバー構成でした。
結果として、同時進行的に水面下で深刻化していた米子会社の買収問題には一切目を向けられず、ほどなくしてこの件がさらなる不祥事として公になる――という体たらくを示したのです。
会社で「不祥事」が起きたらどうする? 立て直しに有効な3つのポイント
組織を悩ます「不祥事」と「社員の処分」 それでも“もみ消す”企業が多いワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング