このように見ると、不祥事報道でよく耳にする第三者委員会に法的な拘束力はなく、企業が自ら委員を選び、調査を依頼したに過ぎないこと。そして、委員会自体にも改善の余地が大きいことが分かります。しかし、多くの人にはいまだ、第三者委員会が「公正性」「論理性」「専門性」などを兼ね備えたものであるかのようなイメージを持っているのではないでしょうか。また、第三者委員会の報告書によって不祥事は一定の禊(みそぎ)を終えたかのように感じさせられてはいないでしょうか。
しかし、第三者委員会は決して完璧かつ高潔な存在ではありません。さまざまな課題を抱えている組織であることを理解した上で、報道を受け止める必要があるといえます。
八田氏は著作で「第三者委員会に関わるコストが、一切明らかにされていないことは問題である」とも述べています。第三者委員会に億単位の報酬が支払われるのは常であるとの話も、関係筋から筆者の耳に届いています。委員の人選を当該企業の経営者が行い、同じ経営者の判断で非公開に巨額の報酬が支払われるならば、本当に「第三者」として正当性が保たれるのか。まずはこの点にこそ、真の「第三者委員会」を実現するための最大の改善点が潜んでいるのではないか、との筆者の考えを最後に付け加えておきます。
株式会社スタジオ02 代表取締役
横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。
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